2021年11月25日木曜日

バックパッカースタイルで行くEVE Online(ネパールその2

EVE宇宙をソロで闊歩するガイドとして企画された『バックパッカースタイルで行くEVE Online』は私が書いた旅行記を「原文ママ」で公開するものです。
価値観や文化の違い、詐欺師や海賊プレイヤーとのやり取りなど、私の旅行記を通して自己流のやり方を掴んでいただければ幸いです。Fly Safe o7

※ただの旅行記がEVE Onlineと何の関係があるかは
旅行記で展開されるストーリーをEVEに当てはめてみれば、それ即ち「This is EVE」
毎週木曜日18時更新。全30話以内に納まる予定。
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【お気に入りのカトマンズ】

カトマンズ初日は通うべき安食堂の探索と物価の調査を軽く済ませて終了した。本日は観光をする。観光するぞ!と外出するのは久しぶりな気がする。まだポカラ病から脱していないので午後からの出動になったが、それでも観光への意欲が蘇り始めたのは「ここには何かある」という予感のせいか。

ネパールのガイドブックを持っていないし、長い停電中につきインターネットの力を借りて名称を調べる術が無いので「どこの何」か分からないが、カトマンズの観光スポットはあまりないと思うので、そこはアレしてコレするという感じで。

タメルから南へ歩いて行けば寺院が密集した場所がある。写真は北側の入口付近にある全体的に良い感じの狛犬の様なもの。この近くにあるチャイ(ネパールではチャー?)の露店で一杯10ルピーのチャイをお婆ちゃんに作ってもらい休憩。すでに良い感じのネパール寺院が見えていて心が昂ぶり気味だが、温かいミルク紅茶で落ち着きを取り戻す。日本男児として常にクールかつスマートでありたいものだ。

チャイ休憩を終了し、お婆ちゃんに10ルピーを支払い、合掌&ナマステで礼を言い、フレッシュな気持ちで寺院群に立ち入ろうとするやいなや呼び止める者あり。チケットオフィスだ。ここは有料である。しかも馬鹿高い。750ルピー。日本円で750円だ。ここはネパール、ミルクティーが10ルピーで飲める国。
「えーっ、750ルピーもするのー!」とごねているとガイドが寄って来て「ガイドはいらないか。1時間ワンサウザンドだ。」と売り込んできた。ガイドなんぞはいらんし、こっちはそれどころではない。しかも1000ルピーとか舐めているのか。高額の入場料を前に観光心が揺らぎ始めた僕はガイドに愚痴る。750は何かの間違いではないか。誰もチケットを買わずに次々に入場しているのはなぜだ。750の他に150ルピーのチケットがあるようだがこれは何か。答えるガイド。750はツーリストプライスで150はインドやブータン等の近隣の国の人用。素通りしているのは皆ネパール人(インド系やチベット系、日本人の様な顔立ちの人。ネパール人といっても見た目はまちまち。)。お前は日本人だから750でノープロブレムだ。
一通りの疑問が解消されたが悩む金額だ。更に営業を仕掛けてくるガイドを余所目にチケットオフィスを10分間観察したところ、呼び止められてチケット代を確認したのち諦めて引き返す白人グループ2組、悩んだ末にチケットを購入して入場する中国人カップル1組。やはり金額がネックの様だ。

高い!
お前は日本人だろ。750はお前にとってチープマネーだ。
ここはネパールだ。日本ではない。750はエクスペンシブだ。
チケットが750、ガイド料が750、合わせて1500でどうだ。
高い。ノーだ。
と、上の空でお決まりの流れを延々と続けている内にガイドの営業トークが変化した。「よし、分かった。チケットはフリーだ。ガイド料のみで750ルピーだ。」チケット代を国に納めずにチケットオフィスの係りに賄賂を渡してノーチケットで入場するの術。正直ガイドなんて邪魔なだけで同じ750ルピーを支払うならチケットのみを買うところだが、ガイドのおじさんが面白そうだったので提案された裏口入場に合意した。この様な取引は日常の様で、ガイドは係員に軽く目配せしただけで「こっちへ来い」と堂々と寺院の方へ道を歩いて行く。

数は忘れたが狭い区画に多くの寺院があり、どれも古く、老朽化で木製の彫刻が破損しており、瓦などは剥がれてかろうじて引っかかっているだけの個所も多々あるが、ネパール様式の風格を保つ良い寺院ばかり。

良い。

これらも良い。

寺院全体の造形はシンプルで洗練されている。そしてかなりの技術で精緻な彫刻が施されている。

神仏の彫刻は動的で色気がある。部分的にカーマスートラ仕様のエロチックな物もあり。

クマリちゃんの家。生き神であるクマリは決められた条件を満たした少女の中から選ばれる。選ばれた少女はクマリとして教育され、ここへ住み、初潮を迎えるその日まで国事に関わる役割を担う。よって気安くクマリちゃんなどと呼んではならない。クマリはネパール中の町や村にもいるらしいが、ここのクマリだけは別格で、今はどうか知らないがネパールが王国であった時は国王自ら謁見に訪れるレベルの存在。近年ではクマリを児童を半ば幽閉する悪しき文化であると抗議する人権擁護団体によって存続の危機にあるらしいが、これが悪しきものか神聖なものかの判断がどうなるのか気になるところである。

特別な日にクマリ家正面三階中央の窓からクマリが顔を出すらしい。

クマリ家玄関にはネパール(チベットも)でよく使われるドクロの彫刻。女神の住まいだけあってオシャレ。

(続く


【お気に入りのカトマンズ2】

クマリ家中庭にお邪魔。タダでクマリが見られるから中に入れ、と玄関先で通常の二倍の20ルピーでクマリポストカードを売りつけようとするお婆ちゃん達に促されて入った。クマリの撮影は禁止。10分くらい待って三階中央の窓から現れたクマリは写真で見るより幼く、無表情で人形の様に振舞うのかと思いきや、人目に晒されて落ち着きなくもじもじする様は少女のそれだ。クマリちゃんという感じ。10秒程度観光客が見上げる中でもじもじした後、そよ風に吹かれて飛んで行く綿毛の様な呆気なさで奥へと消えて行った。

10ルピーで購入したクマリポストカード。今日はこの様な気合の入った格好ではなく身軽な服装で、化粧もアイラインと口紅以外におでこへ赤いのをちょんとつけたのみのオフ仕様だった。
観光客相手のつまらないお務めも国の大きなイベントもこなさなくてはならない立場は大変だと思うが、クマリ交代のその日まで頑張ってもらいたい。

クマリ家の彫刻も周囲の寺院に肩を並べる立派さ。

ガイドの事を忘れていた。彼は1時間と言っておきながら、急ぎ足で寺院を巡りながら20分足らずのザックリした解説を済ませた後「じゃあ俺は行くから。お前は何時までいても良いからゆっくり見て行って。後でお茶飲もうぜ。」と言って750ルピーを握って去った。クマリ家にお邪魔する前の話しだ。いちいち細かく解説されるのは好きじゃないから程よい感じだったが、にしても客をゲットするまでが仕事のお気楽ガイドだった。
解説のほとんどは既知で退屈だったが、唯一印象に残っているのが地味なシバ寺院で、本来はその寺院内をカトマンズと呼ぶらしい。昔はネパールと言えばカトマンズの街をさしたそうで、今でも田舎の人はカトマンズへ行く事を「ネパールへ行く」と言うらしいまことしやかな話しを何かで読んだが、それとよく似ている。

カトマンズで最大の寺院。スケールと風格は他を圧倒している。立入禁止なのが惜しい。ぜひ内部も拝見したい。

演奏している人々あり。 

一旦寺院群を抜けて下町を探索。良い雰囲気だ。品揃えは良くないが土産物もタメルより良心的な価格で買える店あり。

裏口入場した場合、寺院群に再度入場する時は注意が必要だ。要所にチケットオフィスがあり、もしチェックが入ると「あ、いや、ガイドの手引きで裏口からアレして、その...」ときょどる羽目になる。チェックが甘々なので僕はすんなり通過できたが。

750ルピーの元を取ろうと飽きるまで寺院群を観光して、次は街を散歩する。

凝った彫刻のある古びた建物が多い。通りに面した一階は土産物屋だったり食堂だったり雑貨屋だったり。 

寺院群に行かなくても街のいたるところに小さな寺院や写真の様な物がたくさんある。

硬貨を釘で貫通し打ち付けた物。願掛けか。

衣類を扱う土産物屋。タメル地区にはその他アウトドア用品店やヤクのウール100%のブランケット屋、シルク屋、仕立屋、アクセサリー屋など物欲を刺激する品物で溢れており、財布を封印していないと何故かあっという間に荷物が持ちきれなくなるので注意が必要だ。危険な街である。


【お気に入りのカトマンズ3】

宅配業で使う様な自動車から出てくる学校帰りの子供たち。いったい何十人乗っていたのか。我が子を迎えに来た親御さんたちも合わせてかなりの数。

ネパールらしい店と言えばククリ専門店。タメル地区で5、6軒は確認した。大小様々なククリで一杯だ。全く必要のない僕でもちょっと欲しくなったりするくらいだからククリマニアにとっては垂涎の店だろう。洗練された刃物の造形は怖いくらい魅力的だ。

ククリつながりでこのラム酒の名前もククリ。うまい。

歯科医院の看板はこれまでに訪れた国で面白い物が多かった。中国では入口に大きく「牙」と書いてあったりした。ここカトマンズの看板の歯と歯茎のイラストも中々味わい深い。


街中にある小振りな寺院でも良い彫刻は多い。

ええ顔。

つづく
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その他の写真






グルカ兵メモ
現在、世界最強とも言われるネパールの兵士。
山岳地帯などの険しい地形においても圧倒的機動力を持ち、白兵戦を得意とする。
能力の高さは戦闘だけでなく語学や従事する各専門分野の知識や技術にも秀でる。
豊かとは言えない山岳地帯に住むネパール人にとって貧困から脱出する数少ない手段の一つが傭兵であり、傭兵としての信頼と実績はそのような厳しさと表裏一体と言える。
かつて最強の兵士として恐れられ信頼されたスイス傭兵も、地理的・経済的背景がグルカ兵と酷似している。

2021年11月20日土曜日

バーナーミッション入門(Anomic Agent

「Anomic Agent(反社会的なエージェント)」には5つのミッションがあります。

NPCが鬼の様に強く、高速で機動し、Webやスクラムの射程も長いです。サイトの到着位置からNPCまでの距離が射程圏内になっているので確実に捕まります。
各NPCのSig(船の大きさ:当たり判定範囲)にも注意してください。クルール(18m)、デアデビル(18m)、ドラミエル(11m)は極端に小さく設定されているので、DPSと射程が十分でもWebで減速させたりトラッキングスピードをブーストしたりと何らかの方法で命中率を上げないと無限タンクされます。
「Anomic Team」みたいに小細工で勝つことはできませんから、今回はできるだけ低価格の真っ向勝負で優位になるFitを意識しました。

全モジュールを起動させているだけで勝てるスペックにするには1機のフリゲートに400M~くらい投資することになるので、金額を抑えた今回のFitではプレイヤースキルがそれなりに必要です。
目安としては、ローセクFWサイトのFG1on1でそこそこ勝てるくらいの練度でしょうか。
ローセクPVPerのレベルが相当落ちている(というか強いプレイヤーがほとんどログインしなくなった)ので現時点ではそれくらいが基準になると思います。逆に「Anomic Agent」を今回のFitで攻略できるなら、ローセクPVPでそこそこやっていけるくらいの技術が身についているとも言えます。別途PVPのノウハウは必須ですが、モジュールの操作のみに関しては「ローセクへgo」の水準になっているはずです。


【Cruor】
EM:90DPS Th:90DPS
射程:9,500m

Scram:18,000m
Web:48,000m(効果60%)
Neut:-18GJ/s 射程:10,200m

オービット:900m/s (距離:3,000m)
追跡時の速度:1,800m/s
Prop:アフターバーナー

アーマータンク
シールド自動回復:8HP/s(最大時)
アーマーリペア:37HP/s
Sig:18m
 
エンヨ
ハードナーが「シャドウサーペンティス」とかになっているのはT2より安かったからです。レジがT2相当で最安値の物を選択してください。
ハードナーをDEDのB-Typeにすると楽になります。

ミッションを引き当てるのに時間がかかるため動画はテストサーバーで撮影しています。モジュールをナナイト(ナノマシンリペアペイスト)で修理していますが、ナナイトの消費が激しいモジュールは特に入港可能なストラクチャで無料修理した方が良いです。T2トリグラ砲は小型でも儲けが吹き飛ぶくらいの修理代がかかります。


【Daredevil】
Th:110DPS Kn:154DPS
射程:27,000m

Scram:16,000m
Web:18,000m(効果90%)


オービット:1,200m/s (距離:11,000m)
追跡時の速度:2,600m/s
Prop:アフターバーナー

アーマータンク
シールド自動回復:4HP/s(最大時)
アーマーリペア:65HP/s
Sig:18m
ダマヴィク MaxDPS232 (オーバーロード時259)
キャップブースターを1つリパブリックフリート・キャップバッテリーに換えれば電池の消費を少なくできますが、キャップブースターをオーバーロードさせないとキャパシタが切れることがあります。
DEDリペアラーを回復量が多いタイプに換えるとタンクが楽になりますが、金額が上がるのと電池の消費が激しくなります。
Webはドレッドガリスタスの方が安い場合があるのでマーケットをチェックしてください。



【Dramiel】
プロジェクタイル 射程:10,500m
Kn:19DPS Ex:96DPS

ロケット 射程:10,125m
EM:55DPS

Scram:16,000m
Web:18,000m(効果60%)

オービット:2,100m/s (距離:500m)
追跡時の速度:2,900m/s
Prop:アフターバーナー

シールドタンク
シールドリペア:79HP/s
Sig:11m
 
デアデビル
リペアラーを回復量が多いタイプのDED A-typeにすると楽になります。



【Succubus】
EM:135DPS Th:30DPS 射程:19,000m

Scram:16,000m
Web:1,800m(効果60%)


オービット:3,200m/s (距離:14,000m)
追跡時の速度:4,750m/s
Prop:アフターバーナー

シールドタンク
シールドリペア:53HP/s
Sig:30m
 
デアデビル
ハードナーをDEDのB-Typeにすると楽になります。



【Worm】
Kn:228DPS
射程:140,625m

Warp Disruptor:50,000m


オービット:3,600m/s (距離:38,000m)
追跡時の速度:3,600m/s
Prop:マイクロワープドライブ

シールドタンク
シールドリペア:77HP/s
Sig:70m
 
エンヨ
オーバードライブをナノファイバーに換えた方が良いかもです。
リペアラーをダウングレードしてもタンクできると思います。
MWDを1サイクル目からオーバーロードさせるとワームに追いつく前に燃え尽きる可能性が高くなります。
MWDが燃え尽きてしまったらドローンでワームを攻撃してください。ワームがドローンにターゲットを切り替えてワープ妨害が外れた隙にサイトを離脱できます。



【楽に攻略できるFit】

楽に攻略できるものになると高額になってしまうので、機体を使いまわせるネルガルが良いかと思います。リグを変更することなくモジュール等を切り替えるだけですから、船体分のiskを節約できるのがメリットです。電池も使いません。
※ネルガルは船体自体が高額でギャンカーに狙われやすくなくなるので注意してください。

自己流のFitセットを用意していたのですが、より洗練されたものが既にあったのでそちらを紹介します。
動画内でFitの解説や攻略ポイントの説明もされているので参考になると思います。

動画内で紹介されているFitは複数キャラを使って同時進行でバーナーがん回しできるスペックになっているようです。1キャラの場合はオーバースペック気味なのでモジュールをダウングレード可能です。Fitをシミュレートして十分かつ低価格のFitを見つけてください。例えば私だったらワーム用のFitで、ハードナーをリアクティブ、MWDをQuad LiF、トリグラ砲とスクラムをT2、リペアラーをCoreli A-Typeにしてハイスロットにノスフェラトゥを追加します。

※DEDや派閥品は相場によって同スペックの物が低価格になっていることがあるのでチェックしましょう。


動画内で紹介されているFit

対ドラミエル
MaxDPS 581

対クルール
MaxDPS 682

対サキュバス
MaxDPS 605

対ワーム
MaxDPS 587

対デアデビル
MaxDPS 522


【攻略できた最安値のFit】

対ワーム
安定して攻略できるものの中で最安値でした。
ワームにアプローチ→MWD起動(2サイクル目からオーバーロード)→高火力クリスタルの射程に入ったらオーバーロード解除(MWDは常時起動)→パルスレーザーをオーバーロード

ここに載せてあるFitより簡単により安く攻略できるものもあると思うので、ひらめいたら挑戦してみてください。

バーナー用のFitを考える時に役立つのは「pyfa」です。
画像の様にバーナーNPCの攻撃属性を選択してどれくらいタンクできるか確認できます。
相手のSigや速度、距離等でこちらの攻撃がどの程度ヒットするかとか、より具体的なシミュレートもできますが、「pyfa」は多機能であるがゆえに基本的な使い方だけでも簡潔に解説することはできないし、私は未だ使いこなせていないので説明は省きます。

「pyfa」のダウンロードや使い方の初歩はB-OSP EVEONLINE WIKI『FITシミュレーション:Pyfa』で確認してください。
「pyfa」のHow toはYoutubeやWIKI、ブログ等にいくつかありますが、今のところ日本語での具体的な解説は無いと思います。(アライアンストーナメントで活躍された日本人チームの艦隊Fitを構築したメンバーさんくらいゲームに精通していないと解説できないだろうし、かなりの労力を投入することになるので誰も作らないっていう。誰か作ってくれないかな)

2021年11月18日木曜日

バックパッカースタイルで行くEVE Online(ネパールその1

EVE宇宙をソロで闊歩するガイドとして企画された『バックパッカースタイルで行くEVE Online』は私が書いた旅行記を「原文ママ」で公開するものです。
価値観や文化の違い、詐欺師や海賊プレイヤーとのやり取りなど、私の旅行記を通して自己流のやり方を掴んでいただければ幸いです。Fly Safe o7

※ただの旅行記がEVE Onlineと何の関係があるかは
旅行記で展開されるストーリーをEVEに当てはめてみれば、それ即ち「This is EVE」
毎週木曜日18時更新。全30話以内に納まる予定。
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【ポカラはなんと心地良い所かと思う】

バラナシ駅7:55発の列車に揺られてゴーラクプルへ正午前に着。駅前で乗り合いタクシーを拾い200ルピーでネパール国境の町スノウリへ向かう。発熱でフラフラしていたが、酷暑で小汚いインドを早急に離れるが無難と判断した僕は、体に鞭打って難儀なインド/ネパール国境越えを決行した。

国境インド側ゲート。50mくらい手前に掘っ建て小屋仕様のイミグレーションオフィスがある。安食堂や両替屋の建物と同化して風景に溶け込んでいるので、あくびをしていると素通りしてしまう。のんびり手続きをする二人のおじさんインド先輩イミグレ係は案外親切だった。

インド側ゲートを越えてテクテク歩くとネパール側ゲート。これを出てすぐ右にネパールイミグレーションオフィスがある。インド側と違って分かりやすい。係りのネパール人はインド側より親切だった。1インドルピー=1.6ネパールルピーが現在の公式レートである事や、ポカラまでのルートについても訊いていないのに教えてくれたり。25ドルと証明写真一枚を渡して15日ビザをゲット。

ネパール時間はインドより15分早いが僕の腕時計はネパール時間に設定できなかった。なので時間は脳内変換する事に。一方iPhoneは国境を越えると何時の間にか現地時間にセッティングされているから凄い。最初にWiFiやGPSを拾った時に位置情報から割り出すのか。

国境では両替をしなかった。スノウリの両替屋のレートは極悪だし、ネパールではインドルピーが使えるという話しを聞いていたのでスルー。ろくでもない店でなければインドルピーを差し出すと1.6倍でネパールルピーに換算してくれる。1ネパールルピーはほぼ1円なので日本円でいくら使っているのか分かりやすい。
イミグレからすぐの所にバス停があり、そこでポカラ行きのバスへ乗り込む。400ルピー(再びインドに戻るまではネパールルピーを「ルピー」と表記する)くらいだった。

バスの揺れは過去最高の鋭さ。道はさほど凸凹していないが、バスのショックアブソーバーとサスペンションがガラクタ過ぎるのだ。窓ガラスのゴムパッキンは劣化して完全に萎縮及び硬化しており、ブレーキを強めに踏むと勝手に前にスライドする自動換気システムになっている。夜の間中、崖っぷちの峠道を低速でぶっちぎるバスが巻き上げる土埃がネパールの冷たい空気に乗って車内にin。
悪路レベルはたいしたことは無い。ラオスみたいなもんだ。

----- 中略 -----

午前五時半。どうやら既にポカラのバス停に着いていた様だ。タクシーや店がぼちぼち営業を始めるまで寝ていても良いよという事らしい。で、この時間に起こされた。
重い体と重い荷物を背負った僕はここがどこか分からず、分かってもガイドブックも地図も無いので意味が無く、適当にタクシーを拾って事前に調べておいた安宿の名前を言ってレイクサイドへ向かう。後で分かったが、バス停から宿が集中するレイクサイドまではそんなに遠くない。230ルピーはかなりぼったくった値段なんじゃないか。ネパリーとは言え観光客相手の輩は安心できない。

宿に着いて少し寝て、健康になるにはとにかく食わねばと食堂を探して散歩する。中級ホテルが多いレイクサイド周辺ではレストランも高い。少し外れに安めの食堂を発見し、チョーメン(焼きそば)60ルピーとチャイ15ルピーを摂取。更に散歩は続く。

果物のミックスジュース屋で一杯50ルピー。オレンジ、パイナップル、ザクロ、ぶどう、リンゴミックス。

「ククリ」というカッコ良いネパールタバコを買ってみたり。

管楽器による演奏禁止か。まさか自動車の警笛禁止とかいう逆に危険な標識じゃないよな。

日本人が作った学校か。

レイクサイドから離れてダムサイドで吊り橋を渡ってみたり。

ダムサイドでは飯屋が安い。サモサ15ルピー、モモが一皿50ルピーなど。モモに使われていた肉はバッファローだと思う。マトン特有の風味が無く、食感はゴムの様に硬い。ネパールもヒンドゥー教が盛んなので牛肉禁止だったと思うが、水牛は牛ではないと位置付けられれいるから食べても良い事になっていると何かで読んだ記憶がある。バッファロー肉のモモもうまい。

ポカラの夕暮れ。街はリゾート地だからかゴミがあまり落ちていない。野良牛がぼちぼち徘徊しているが牛糞地雷もあまり見かけない。インドとは大違いだ。自動車のクラクションで脳が焼かれる事もない静かな湖沿いに並ぶ土産物屋を見て廻るのも楽しい。客引きは当然多いがうっとおしさが無い。なんせインド人がいないから。
僕の体調は寝込む事無くクリーンな環境によって勝手に改善されていった。

僕は今、近所の安めの食堂で軽く朝食とチャイを楽しんだ後、いったん宿へ戻って、土産物屋が言うにはチベタンが作ったいにしえの高価なスプーンw(50ルピーに値切ったが高いと思う)で蜂蜜をちうちうしながらこれを書いている。


【ポカラでは何もしていないので行動力が低下してマズイ】

ポカラでは何もしないぞと考えていたが、そんな事をわざわざ考える必要もないくらいポカラはする事が無い。ヒマラヤ山脈がすぐ目の前にそびえ立っているのでトレッキング目的の人にとってはする事があり過ぎるくらいだろうが、僕は本格的な山装備を持っていないし、新品を買い揃えるなりレンタルするなりして山へ登ろうと思う程興味も無い。故に散歩と食事と昼寝で一日を過ごす。ある意味で地獄の様な所である。

そんな地獄に生息する野良牛の生態を観察。

リゾート地仕様で物価の高いレイクサイドから地元民が暮らすダムサイドへ通う日々。雑貨屋や安食堂がちらほら。観光客の姿が少なくトレッキングツアーに勧誘してくる客引きもいない、非常に居心地の良い場所だ。
これまで雑貨屋や安食堂で「うちの子供は今東京で住んでるんだよ」と言っていた店が3軒。ポカラでは日本に行くのが流行っているのか。

ダムサイドで良い屋台を見つけた。水牛肉入りのモモが30ルピー。焼きそばも30ルピー。安い!そしてうまい!
兄弟であろうと思われる愛想の良いおっちゃん二人が仲良く調理する。一人が野菜やら麺やら調味料やらをフライパンに投入する役で、もう一人がフライパンを持って手早く焼きそばを炒める。余裕で一人でも可能な調理だが、あえて二人でこなしている所が良い。モモを作るもの同じ様に作業を分担している。

サモサ等の軽食を扱う食堂でネパールのカレンダーを発見。4が8、5が9に見えたり、なれないと数字がいくつなのか分からん。10も書き様で30に見える。

銀色の二枚はインドの硬貨。1ルピーは親指を一本立てて分かりやすく「1」を表現。今は手持ちが無いが2ルピー硬貨は人差し指と中指を立てて「2」を同じく表現している。それに比べてネパールの硬貨はネパール数字しか書いていないので「えーと」ってなる。これは多分5ルピーのはず。と思っていたが1ルピーらしい。

下を見ながら歩いているとしばしば牛の蹄がコンクリートにスタンプされている。牛もまた人と同様に半生状態のコンクリートにいたずらしたい衝動を抑えられないのか。

レイクサイドの湖沿いの道には宿の看板が通りごとに設置してあるので、宿探しや迷子になった時に便利。

湖沿いにはこんな店が軒を連ねている。


【ポカラでは何もしていないので行動力が低下してマズイ2】

あまりにも何もしていない事が不安になってきたので、レイクサイドから徒歩で行けるサランコットという小高い山に登ってみる事にした。

レイクサイドから少し離れると住宅地。結構大きめの家が多い。中流以上が住むエリアか。

ネパールのトラック野郎は派手好き。視界が運転席正面しか無いが大丈夫か。写真では確認し辛いがチェ・ゲバラのイラストがある。王制廃止から間もないネパールで早くも不穏な動きか。あるいはカッコ良いから描いてみただけか。

サランコットへの登り口付近に寺院を発見したので寄ってみた。ここはヒンドゥー寺院で、カーリーを主に、シバとクリシュナ(だったと思う)を祀っている。写真はインド人参拝客が列をなしてカーリー堂の順番待ちの図。近くにいたネパリーが「インド人はどこでも騒がしいからノーグッドだ」と言っていた。もっともだ。でもちゃんと一列にインド人が並んでいるなんて凄い。

これはライオンと教えてくれたが本当か。日本の獅子はライオンの様だがライオンでは無い架空の生き物だったはず。これもその類かもしれない。

ネパール王と王妃。現在の王と王妃はネパールでどういう扱いなのか気になる。国民からの支持は今でも厚いのかしら。

寺院を後にサランコットを目指す。余裕のハイキングコースだと思っていたが勾配の急な道が続く。民家があったり小さな寺院や学校らしきものがあったり、非常にのどかな風景が続くが息が続かないので休憩多めで。

山頂まで行くつもりだったが絶景のヒマラヤが霞んでチラリとも見えない。少しくらいは霞が晴れるかと30分間監視したが変化無し。残念だがしんどいので途中で引き返す私。引き際は鮮やかに。それが勝利へとつながるはずだ。

締めはカッコ良い壁。


【カトマンズへ】

ポカラではShanti Guest House(ドミトリー200ルピー)で二泊、Penguin Guest House(ドミトリー150ルピー)で三泊した。いずれも親切なスタッフばかりの良い宿だが、ペンギンではオーナーのアショクおじさんが日本語ペラペラかつ超親日家で何かと世話を焼いてくれて非常に助かった。カトマンズへの行き方やお勧め宿、いろんな情報を丁寧に教えてくれる。

----- 中略 -----

チェックアウトの時にチャイをご馳走して頂き、午前七時に乗り合いタクシーでバス停へ出発。三人でシェアして一人50ルピー。バス停でカトマンズ行きのバスに乗り込み、やや遅れ気味に発進。
記憶ではポカラは『Dr.スランプ』のペンギン村のモデルだったと思うが、そんなのどかな町にはこの先当分行けないかもしれない。もう少しゆっくりしてみたかったが、ゆっくりすればするほど時間の感覚が麻痺する地獄の様な場所なだけに「キーーーン!」と猛スピードで疾走する少女が現れる前に立ち去ることにした。

今回のバスは小型で窓ガラスがガタつく事も無く綺麗ではないが快適だ。ラオスでもそうだったが、アップダウンの激しい細くて蛇行した峠道を何時間も走る場合は小型車両が良い。大型バスやトラックとすれ違うのも簡単だし、車体が軽い分登り坂でも速度が保てる。
道自体はそこそこ舗装されていて乗り心地は悪くない。故障等のトラブルも無し。事故って崖に落ちかけで停車していたり側溝に脱輪してお手上げになったバスやトラックを10台程度見たくらいだ。

どこかの川。

どこかの民家。ネパール語には「水平」「垂直」に相当する言葉が無いのかもしれない。家屋を構成する柱、屋根、梁、窓、扉等いろんな向きに斜めである。建物を一周して眺めると経年による歪みにしては不自然な個所が多々あるので新築時からまちまちに斜めなのではないか。ネパールに入ってからこの様な状態の戸建住宅が目立つ気がする。ヒマラヤができる程プレートがダイナミックにぶつかっている土地なのに大丈夫か。

本日も霞んで遠くが見えにくい。

途中、パーキング横にあった小さなシバ寺院のナンディ(シバ神が乗る牛)が緑。この色は見たことがなかった。

立派なお寺が見えたから、これは山門か。眼がついている門はカッコ良い。僕も門を作ることがあったら眼を描こうと思う。

カトマンズが近くなると建物が増える。

約8時間でカトマンズ着。バスから降りたら寄って来る客引き。ごちゃごちゃした街並も合わさってカトマンズはインドみたいな所かと少々がっかりしたが、実際は違っていた。自動車の交通量が多くインドの様に土埃が巻き上がりっ放しだが、カトマンズにしかない独特な雰囲気がある。

タメル地区北側、長距離バスのバス停がある通り。

旅行者が集まるタメル地区の安宿街。
カトマンズの宿はペンギンのオーナーに紹介していただいたチェリーゲストハウス。シングル一泊350ルピー。設備的には可もなく不可もなしだが安心して寝泊まりできる。スタッフの皆さんが良い。

細い道が入り組む街中にはサイクルリキシャーあり。

タメル地区の外れ。僕の大好きな安食堂があるエリア。タメルの中心部は割高なツーリストプライスのレストランが多い。

つづく
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その他の写真




ポカラからのトレッキングメモ
ポカラからのトレッキングで人気なのは2~3週間かけてアンナプルナを一周するコースで、行った人に写真を見せてもらったら絶景ばかりで驚いた。
ルートには要所ごとに宿泊施設のある村があり、ガチ登山装備でなくても十分回れるとのこと。
山好きなら一度は行っておきたい山の一つ。