2021年11月25日木曜日

バックパッカースタイルで行くEVE Online(ネパールその2

EVE宇宙をソロで闊歩するガイドとして企画された『バックパッカースタイルで行くEVE Online』は私が書いた旅行記を「原文ママ」で公開するものです。
価値観や文化の違い、詐欺師や海賊プレイヤーとのやり取りなど、私の旅行記を通して自己流のやり方を掴んでいただければ幸いです。Fly Safe o7

※ただの旅行記がEVE Onlineと何の関係があるかは
旅行記で展開されるストーリーをEVEに当てはめてみれば、それ即ち「This is EVE」
毎週木曜日18時更新。全30話以内に納まる予定。
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【お気に入りのカトマンズ】

カトマンズ初日は通うべき安食堂の探索と物価の調査を軽く済ませて終了した。本日は観光をする。観光するぞ!と外出するのは久しぶりな気がする。まだポカラ病から脱していないので午後からの出動になったが、それでも観光への意欲が蘇り始めたのは「ここには何かある」という予感のせいか。

ネパールのガイドブックを持っていないし、長い停電中につきインターネットの力を借りて名称を調べる術が無いので「どこの何」か分からないが、カトマンズの観光スポットはあまりないと思うので、そこはアレしてコレするという感じで。

タメルから南へ歩いて行けば寺院が密集した場所がある。写真は北側の入口付近にある全体的に良い感じの狛犬の様なもの。この近くにあるチャイ(ネパールではチャー?)の露店で一杯10ルピーのチャイをお婆ちゃんに作ってもらい休憩。すでに良い感じのネパール寺院が見えていて心が昂ぶり気味だが、温かいミルク紅茶で落ち着きを取り戻す。日本男児として常にクールかつスマートでありたいものだ。

チャイ休憩を終了し、お婆ちゃんに10ルピーを支払い、合掌&ナマステで礼を言い、フレッシュな気持ちで寺院群に立ち入ろうとするやいなや呼び止める者あり。チケットオフィスだ。ここは有料である。しかも馬鹿高い。750ルピー。日本円で750円だ。ここはネパール、ミルクティーが10ルピーで飲める国。
「えーっ、750ルピーもするのー!」とごねているとガイドが寄って来て「ガイドはいらないか。1時間ワンサウザンドだ。」と売り込んできた。ガイドなんぞはいらんし、こっちはそれどころではない。しかも1000ルピーとか舐めているのか。高額の入場料を前に観光心が揺らぎ始めた僕はガイドに愚痴る。750は何かの間違いではないか。誰もチケットを買わずに次々に入場しているのはなぜだ。750の他に150ルピーのチケットがあるようだがこれは何か。答えるガイド。750はツーリストプライスで150はインドやブータン等の近隣の国の人用。素通りしているのは皆ネパール人(インド系やチベット系、日本人の様な顔立ちの人。ネパール人といっても見た目はまちまち。)。お前は日本人だから750でノープロブレムだ。
一通りの疑問が解消されたが悩む金額だ。更に営業を仕掛けてくるガイドを余所目にチケットオフィスを10分間観察したところ、呼び止められてチケット代を確認したのち諦めて引き返す白人グループ2組、悩んだ末にチケットを購入して入場する中国人カップル1組。やはり金額がネックの様だ。

高い!
お前は日本人だろ。750はお前にとってチープマネーだ。
ここはネパールだ。日本ではない。750はエクスペンシブだ。
チケットが750、ガイド料が750、合わせて1500でどうだ。
高い。ノーだ。
と、上の空でお決まりの流れを延々と続けている内にガイドの営業トークが変化した。「よし、分かった。チケットはフリーだ。ガイド料のみで750ルピーだ。」チケット代を国に納めずにチケットオフィスの係りに賄賂を渡してノーチケットで入場するの術。正直ガイドなんて邪魔なだけで同じ750ルピーを支払うならチケットのみを買うところだが、ガイドのおじさんが面白そうだったので提案された裏口入場に合意した。この様な取引は日常の様で、ガイドは係員に軽く目配せしただけで「こっちへ来い」と堂々と寺院の方へ道を歩いて行く。

数は忘れたが狭い区画に多くの寺院があり、どれも古く、老朽化で木製の彫刻が破損しており、瓦などは剥がれてかろうじて引っかかっているだけの個所も多々あるが、ネパール様式の風格を保つ良い寺院ばかり。

良い。

これらも良い。

寺院全体の造形はシンプルで洗練されている。そしてかなりの技術で精緻な彫刻が施されている。

神仏の彫刻は動的で色気がある。部分的にカーマスートラ仕様のエロチックな物もあり。

クマリちゃんの家。生き神であるクマリは決められた条件を満たした少女の中から選ばれる。選ばれた少女はクマリとして教育され、ここへ住み、初潮を迎えるその日まで国事に関わる役割を担う。よって気安くクマリちゃんなどと呼んではならない。クマリはネパール中の町や村にもいるらしいが、ここのクマリだけは別格で、今はどうか知らないがネパールが王国であった時は国王自ら謁見に訪れるレベルの存在。近年ではクマリを児童を半ば幽閉する悪しき文化であると抗議する人権擁護団体によって存続の危機にあるらしいが、これが悪しきものか神聖なものかの判断がどうなるのか気になるところである。

特別な日にクマリ家正面三階中央の窓からクマリが顔を出すらしい。

クマリ家玄関にはネパール(チベットも)でよく使われるドクロの彫刻。女神の住まいだけあってオシャレ。

(続く


【お気に入りのカトマンズ2】

クマリ家中庭にお邪魔。タダでクマリが見られるから中に入れ、と玄関先で通常の二倍の20ルピーでクマリポストカードを売りつけようとするお婆ちゃん達に促されて入った。クマリの撮影は禁止。10分くらい待って三階中央の窓から現れたクマリは写真で見るより幼く、無表情で人形の様に振舞うのかと思いきや、人目に晒されて落ち着きなくもじもじする様は少女のそれだ。クマリちゃんという感じ。10秒程度観光客が見上げる中でもじもじした後、そよ風に吹かれて飛んで行く綿毛の様な呆気なさで奥へと消えて行った。

10ルピーで購入したクマリポストカード。今日はこの様な気合の入った格好ではなく身軽な服装で、化粧もアイラインと口紅以外におでこへ赤いのをちょんとつけたのみのオフ仕様だった。
観光客相手のつまらないお務めも国の大きなイベントもこなさなくてはならない立場は大変だと思うが、クマリ交代のその日まで頑張ってもらいたい。

クマリ家の彫刻も周囲の寺院に肩を並べる立派さ。

ガイドの事を忘れていた。彼は1時間と言っておきながら、急ぎ足で寺院を巡りながら20分足らずのザックリした解説を済ませた後「じゃあ俺は行くから。お前は何時までいても良いからゆっくり見て行って。後でお茶飲もうぜ。」と言って750ルピーを握って去った。クマリ家にお邪魔する前の話しだ。いちいち細かく解説されるのは好きじゃないから程よい感じだったが、にしても客をゲットするまでが仕事のお気楽ガイドだった。
解説のほとんどは既知で退屈だったが、唯一印象に残っているのが地味なシバ寺院で、本来はその寺院内をカトマンズと呼ぶらしい。昔はネパールと言えばカトマンズの街をさしたそうで、今でも田舎の人はカトマンズへ行く事を「ネパールへ行く」と言うらしいまことしやかな話しを何かで読んだが、それとよく似ている。

カトマンズで最大の寺院。スケールと風格は他を圧倒している。立入禁止なのが惜しい。ぜひ内部も拝見したい。

演奏している人々あり。 

一旦寺院群を抜けて下町を探索。良い雰囲気だ。品揃えは良くないが土産物もタメルより良心的な価格で買える店あり。

裏口入場した場合、寺院群に再度入場する時は注意が必要だ。要所にチケットオフィスがあり、もしチェックが入ると「あ、いや、ガイドの手引きで裏口からアレして、その...」ときょどる羽目になる。チェックが甘々なので僕はすんなり通過できたが。

750ルピーの元を取ろうと飽きるまで寺院群を観光して、次は街を散歩する。

凝った彫刻のある古びた建物が多い。通りに面した一階は土産物屋だったり食堂だったり雑貨屋だったり。 

寺院群に行かなくても街のいたるところに小さな寺院や写真の様な物がたくさんある。

硬貨を釘で貫通し打ち付けた物。願掛けか。

衣類を扱う土産物屋。タメル地区にはその他アウトドア用品店やヤクのウール100%のブランケット屋、シルク屋、仕立屋、アクセサリー屋など物欲を刺激する品物で溢れており、財布を封印していないと何故かあっという間に荷物が持ちきれなくなるので注意が必要だ。危険な街である。


【お気に入りのカトマンズ3】

宅配業で使う様な自動車から出てくる学校帰りの子供たち。いったい何十人乗っていたのか。我が子を迎えに来た親御さんたちも合わせてかなりの数。

ネパールらしい店と言えばククリ専門店。タメル地区で5、6軒は確認した。大小様々なククリで一杯だ。全く必要のない僕でもちょっと欲しくなったりするくらいだからククリマニアにとっては垂涎の店だろう。洗練された刃物の造形は怖いくらい魅力的だ。

ククリつながりでこのラム酒の名前もククリ。うまい。

歯科医院の看板はこれまでに訪れた国で面白い物が多かった。中国では入口に大きく「牙」と書いてあったりした。ここカトマンズの看板の歯と歯茎のイラストも中々味わい深い。


街中にある小振りな寺院でも良い彫刻は多い。

ええ顔。

つづく
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その他の写真






グルカ兵メモ
現在、世界最強とも言われるネパールの兵士。
山岳地帯などの険しい地形においても圧倒的機動力を持ち、白兵戦を得意とする。
能力の高さは戦闘だけでなく語学や従事する各専門分野の知識や技術にも秀でる。
豊かとは言えない山岳地帯に住むネパール人にとって貧困から脱出する数少ない手段の一つが傭兵であり、傭兵としての信頼と実績はそのような厳しさと表裏一体と言える。
かつて最強の兵士として恐れられ信頼されたスイス傭兵も、地理的・経済的背景がグルカ兵と酷似している。

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