2022年7月15日金曜日

ソロPVP講座(T1レジと攻撃属性の選択


攻撃属性を選択できる武器に、プロジェクタイル、ミサイル、ドローンなどがありますが、どの属性を使えば良いのか迷ってしまいます。
今回は攻撃属性を選択する際の目安としてT1レジに着目してみようと思います。


【T1レジ】

T1レジとは、T1(Tech1)の船に共通する素のレジストです。
訂正:T1艦はどれも同じ様なレジの偏り方をしていますが、数値は派閥により異なります。
これはトーメンターに何もFitしていない状態のレジです。
T1船体は派閥を問わず、シールドはEMからExにかけて徐々にレジが高くなり、アーマーはその逆、ハルは全属性が同じになっています。シールドとアーマーのレジの変化量の違いにも注目してください。

まずはこの素の状態で最も効果的な攻撃属性を調べてみましょう。
最も効果的にダメージが通る弱点属性をレジストホールと言います。レジストホールは見かけ上のレジの分布だけではなく各タンク層のHPも考慮する必要があり、正確に調べるには各レジごとのEHP*を計算します。
EHP:レジストが反映された時の耐久値。500HPでレジが20%の場合500÷(1-0.20)=625EHP。
EHPを調べるのにpyfaが便利です。
赤矢印の指す部分をクリックして単属性や任意の弾薬を選択でき、水色の四角で囲ってある位置に指定した攻撃属性に対するEHPが表示されます。
それぞれの属性に限定したトーメンターの素のEHPは、
EM:2433、Th:2254、Kn:2308、Ex:2402
なのでTh(サーマル)がレジストホールになっています。
4大国家のT1艦においてシールドやアーマーに極端に耐久値が偏っている船はないので、シップボーナスでレジが強化される船を含めてもThが素のレジストホールです。(例外があるかは未確認)

次に、想定されるFitを考慮したレジストホールを見てみましょう。
ここではT2ダメコンとT2アーマーコーティングをFitしているとします。
この時のEHPは、EM:3521、Th:3236、Kn:3262、Ex:3354となり、依然Thが弱点になっていますが、ここにアーマーリペアラーの回復が追加されるとレジストホールが変わってきます。
SAAR(小型補助アーマーリペアラー)をオーバーロード状態で使用した場合1サイクルでアーマーに追加されるEHPは、
EM:554、Th:426、Kn:369、Ex:346(小数点以下切り捨て)
これをバッファに足していくと、

1サイクル目:EM:4075、Th:3662、Kn:3631、Ex:3700
2サイクル目:EM:4629、Th:4088、Kn:4000、Ex:4046
3サイクル目:EM:5193、Th:4514、Kn:4369、Ex:4392
4サイクル目:EM:5737、Th:4940、Kn:4738、Ex:4738
5サイクル目:EM:6291、Th:5366、Kn:5107、Ex:5084
6サイクル目:EM:6845、Th:5792、Kn:5476、Ex:5430
7サイクル目:EM:7399、Th:6218、Kn:5845、Ex:5776
8サイクル目:EM:7953、Th:6644、Kn:6214、Ex:6122

この様にリペアラーが回るほどアーマーで最も弱いレジであるEx(エクスプローシブ)にレジストホールが移っていきます。
ここで見えることは、T1小型艦の通常のPVPFitでありうるDPSでこのトーメンターを攻撃する場合はEx属性の攻撃が最も効果的ということです。
ただし、この様な容易に想定されるレジストホールが補強されている場合も当然あります。例えばExレジ強化のT1リグを1枚挿せば次の画像の様になり、Kn(キネティック)がレジストホールとなります。


【攻撃属性を決定する手がかり】

1、zKillboardで相手のロスを調べてFitを確認する。
同じFitの船のロスが最近までいくつかあるようなら、今も同じものに乗っている可能性が高いです。同じ船のロスがなくFitを確認できない場合でも、その他の船のロスからFitの傾向(癖)を探ることができます。

2、無難なレジを攻める。
第二の弱点、アーマータンクならKn、シールドタンクならThを選択します。ただ、第二の弱点も個別に強化していることがあるので、無難に攻めようとして裏目に出ることもあります。

3、ダメージ量から弱点属性を見抜く。
とりあえずで決定した属性弾で撃ってみて、どれくらいダメージが入っているかでレジストホールを見破ります。これは知識と経験が物を言う判断が難しい方法で、ベテランの中にはダメージログをチラ見して弱点を見破り手際よく弾薬を交換できる方が存在しますが、戦闘時間の短い小型艦同士の戦闘においては特に、自信を持って即断できないならそのままで撃ち続けた方が総ダメージ量が多くなる可能性が高いです。

攻撃属性の選択は非常に難しいです。PVPで有り得るFitのパターンを知っておくことと、相手のFitを予測できる経験と、それらが外れた時の対応力が要求されるので一朝一夕で身に付く物ではありません。

属性選びが面倒な場合は属性固定の武器を選択するのも手です。
ハイブリッドタレットとレーザータレットは弾によって比率が変わるものの、特定の属性に固定されているので迷うことなくブッ放せます。
ソロPVPは覚えることが沢山ありますから、攻撃属性の事は後回しにして経験を積みながら少しずつ理解していくのが最短の道かもしれません。攻撃属性を選択できるようになればより強くなると理解しておけば良いと思います。

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【100%レジは実現可能か?】

まずレジモジュール等で強化した時の合計レジの計算を見てみましょう。
素のレジ40%を50%のハードナーで強化した時、40%+((100%-40%)×50%)/100%=70%
これに40%のハードナーを追加すると、70%+((100%-70%)×40%)/100%=82%
となります。
これを分かり易く?図説したのもが下の画像です。
これはレジの計算を単純化したもので実際にはスタッキングペナルティによって合計レジはもっと低くなりますが、仮に60%のハードナーを10個Fitしたとしてもレジが100%に達することがないようになっています。一つの方法を除いては。

画像はインペルにPith XタイプのEMハードナーを1つだけFitしたものです。
インペルにおける素のEMシールドレジは0%ですが、画像では102.9%(正確には102.87%)になっていますね。これはpyfaのバグではなくゲーム内でも実際にこうなります。
なんでこんなことになってしまうかを簡潔に表現すると「CCPは伝統的に算数が苦手だから」になるわけですが、せっかくなので論理的に原因を解明してみようと思います。

現バージョンでのPith XタイプEMハードナーのレジは57.15%です。
インペルを含むDeep Space Transport(DST:深宇宙用特化型輸送艦)にはレジモジュールのオーバーロード時における増加分20%に+100%ボーナスがありますから、Pith XタイプEMハードナーをオーバーロードさせると40%増しの57.15%×140%/100%=80.01%のレジになります。
ここでさらにC6ワームホール空間のレッドジャイアント環境効果「モジュールのオーバーロード時における増加分に+100%」が加わると、57.15%×180%/100%=102.87%となりモジュール単体で100%を超えてしまいます。

レジが100%を超えるととんでもない事が起こるので注意しましょう。
先の画像でカーソルが指している箇所に注目してください。EMのEHPが-65274になっていますね。この時、EMに1ダメージでも入るとインペルは即死します。インパロール(コルベット)に標準装備の民間人仕様レーザータレットでも一撃死になります。
この様にEHPがマイナスになる現象はEHPがオーバーフローした結果引き起こされるバグのようです。つまりレジが100%以上になった時に100%未満に抑えるコードがゲームプログラムから欠落していることが原因です。たぶん

ちなみにですが100%超のレジにする時、強化する素のレジは低い方が良く、レジモジュールに最も強力な物を1つだけ使用するのが最高レジにする条件です。理由は既に述べたので省略します。

この様な例外はPVPに関係しませんが、PVPFitを考える上でレジの計算とスタッキングペナルティは重要なので下記のリンクを一通り読むことをお勧めします。

2022年7月8日金曜日

ソロPVP講座(ナノとオフライン

「彼は寂しがり屋なのよ。だから私がそばにいてあげるの。」の「なの」ではなくて、
今回注目する「ナノ」はナノファイバー内部構造(Nanofiber Internal Structure)です。


【3つの機動力補助モジュール】

船の機動力を高める時に最も重要なモジュールはアフターバーナーとマイクロワープドライブですが、さらに高機動にするモジュールが3つあります。
Inertia Stabilizer(慣性制御装置
 加速力と旋回性能の向上。当たり判定範囲(Sig)が大きくなるペナルティ。
Overdrive Injector System(オーバードライブ)
 最大速度の上昇。カーゴスペース縮小のペナルティ。
Nanofiber Internal Structure(ナノファイバー内部構造)
 加速力と旋回性能の向上および最大速度の上昇。ハルHP減少のペナルティ。

この中でPVPによく用いられるのはナノです。
スタビライザーは加速力と旋回性能でナノを圧倒しますが、それ以上に速度が重要になるPVPにおいて選択されることはまずありません。Sigの増加も地味に痛いです。
速度ボーナスに特化しているオーバードライブはナノより有用に見えますが、あまり曲がらずに長距離移動する様な戦い方以外では、総合力でナノに軍配が上がります。


【ナノの威力】

小型艦でのPVPにおける交戦距離はT2ワープディスラプターの射程24km以内であることが多く、カイト艦同士で距離を取ってペチペチ撃ち合いながら様子見している状況でも50km以内に大体納まると思います。これくらいの範囲で急旋回・急加速を連発する戦闘において、オーバードライブはナノの動きについて行けません。

船の加速度は最高速度に近づくほど低くなるため、船を激しく振り回すような戦闘で最高速度に達することはあまりありません。この様な状況におけるミラーマッチ(同一船体同一Fit同士の戦い)で一方にオーバードライブ、もう一方にナノをFitしたものを比較した時、敏捷性に優れたナノが高機動になります。
この性能差は一気に距離を詰める、もしくは一気に引き離すスプリント勝負において大差がつきます。
オーバードライブが勝つのは直線的な長距離の追いかけっこだけです。

zKillboardで最近のPVPFitを調べている時に気になったのは、オーバードライブを採用しているFitが割とあることです。
相手のFitを推測してみた感じでは、ナノにしていればFitの相性で優勢だと思われるものが少なからずあったというか、そもそもオーバードライブにしている理由が分かりませんでした。機動力補助モジュールを2つ積む場合は両方ナノか一方をオーバードライブにすると思いますが、1つだけならまずナノ一択と言っても良いでしょう。
考えられる理由としては、オーバードライブは「Propulsion」に分類されているのに対してナノが「Hull & Armor」に入っているので分かり辛い事と、ハルHPが減少するペナルティにある様に思います。
特にハルHPの減少はPVP用の船にFitするのをためらう理由として十分です。が、このペナルティは実質無効にできます。

機動力補助モジュールについて
も読んでおくことをお勧めします。
 

【PVPテクニックとしてのオフライン】

ナノのペナルティで減少したハルのHPはオフラインにすることで戻ります。
画像の様に宇宙空間で戦闘中でもモジュールをオフラインにできます。

やり方はナノを右クリックして「Put Offline」を選択するだけなので簡単ですが、使い時を見極めるのは難しいですね。
ベストのタイミングは接戦になって落とされる一歩手前です。
早すぎるとナノの効果を無駄にしてしまうし、一番の使い時は戦闘で最も興奮状態にあるので冷静に操作できるか、それ以前にこのテクニックを咄嗟に思い出すのが難しいですが、オフラインにしてペナルティを無効にするのはPVPの基本テクニックなので覚えておきましょう。

ナノよりもオフラインにすることが多いのはマイクロワープドライブ(MWD)です。
これはワープスクランブラー(スクラム)でMWDを止められ、スクラムの射程外に逃げられず、かつニュートでスクラムを停止したりECMでロックを外す等の術がない場合に実行します。使える見込みのないMWDをオフラインにしてキャパシタへのペナルティを無効にすることで追加のキャパシタを手に入れます。

注意点として、入港せずにモジュールをオンラインに戻すには95%以上のキャパシタ残量が必要です。そしてオンラインにすると同時に大量のキャパシタを消費します。
宇宙空間でキャパシタ関係なしにオンラインにするには、自分が設置したモバイルデポかシップメンテナンスベイのある船に乗ったフリートもしくはコーポメンバーがアクセス規制を解除した状態で有効範囲にいる必要があります。


オフラインにする意味がない(あまりない)モジュール
シールドエクステンダー:Sigへのペナルティを無効にできますが、シールドは残量が0になってもわずかに自動回復するのでオフにするべきか悩みどころです。
アーマープレート:オフラインにしただけでなぜか船が軽くなり機動力が回復します。アーマーのHPが0で回復手段がない場合に限り少しだけ状況を好転できそうです。
クローキングデバイス:コバートクローク以外のクローキングデバイス(遮蔽装置)はロックオンスピードを遅くするペナルティがありますが、オフラインにしても無効になりません。
ワープコアスタビライザー:ロックオンのスピードと距離およびドローン帯域へのペナルティを無効にできますが、PVP用の船には他のモジュールを積んだ方が良いと思います。

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【ゾンビ船を作る】
PVPとは関係ないどうでも良い事なんですが、ナノを使ってゾンビ船を作ることができます。
まずナノがオフラインの状態でハルのHPを限界付近まで削り、次にナノをオンラインに戻します。こうすることでナノのペナルティによりハルHPが0の「死んでいるのに動く船」になります。
このゾンビ船は少しでもハルにダメージが入ると即死しますが通常通り機能します。
関係ないついでにもう一つ、アーマープレートを装備した状態でアーマーHPが0の時、プレートをオフラインにしてもアーマーのHPが0なのは当然ですが、失われたプレート分のダメージがハルに入ることはありません。また、総ダメージ量は記憶されているので、プレートをオン⇔オフしてもアーマーHPは回復しません。
より容量の大きいプレートに積み替えたりプレートを追加すれば差の分だけHP残量が追加されます。

2022年7月2日土曜日

ソロPVP講座(タンク方式

四代目ベースウルフはたずねました。
「こっちのコードとこっちのコード、どっちが良いですか?」
ギターウルフは言いました。
「カッコイイ方で!」


今回はPVPでよく用いられるタンク方式であるバッファタンクとアクティブタンクについて、その性質と効果を比較してみようと思います。
※ソロPVP講座はT1の小型艦(フリゲートと駆逐艦)についての内容になっています。
他の船には当てはまらない内容が含まれていることに注意してください。

【バッファタンク】

バッファタンクとはHPの上限を上げておく防御方式です。
キャパシタの消費なしにタンクを強化できるので、キャパシタの管理がシビアになるPVPにおいて大きな長所を持っていると言えます。
レジストを上げるアクティブモジュールを使用する場合はその分キャパシタを必要としますが、回復モジュールを起動させるのに比べると消費量はわずかです。
また、強烈なアルファショット(一撃)や高DPSにさらされた場合でも、大きなバッファを確保しておくことで一撃死や秒殺を回避できます。

シールドバッファタンク
小型艦のシールドバッファを確保するのに一番良いモジュールは中型シールドエクステンダーです。小型では十分なバッファを確保するのが難しいため採用されることはあまりありません。
中型エクステンダーのFitに必要なリソース(CPUとPG)は小型艦にとって負荷が大きく、ワープ妨害、ウェビファイア、アフターバーナーやマイクロワープドライブ等のPVPで重要なモジュールをセットするミドルスロットに装備するため、Fitするのは1枚が限界になることが多いです。
可能な限りT2を使いたいところですが、Fit全体のバランスを見てメタ品の使用も検討しましょう。海軍系は強力ですがそれ以上に高額になります。
これに加えてリグでバッファを強化したりレジを高めます。
シールドのレジ強化モジュール類はミドルスロットを消費してしまうため、ミドルスロット数が多い船でない限りソロPVP用の小型艦に使われることは少ないと思います。
注意点として、エクステンダーとシールド用のリグ(一部を除く)には船の当たり判定範囲を大きくしてしまうペナルティがあるので、それがどれくらい相手の与ダメージに貢献してしてしまうかを確認しておきましょう。

アーマーバッファタンク
アーマーバッファを増やすモジュールはプレートです。
小型艦では200mmと400mmが装備可能です。100mmも当然装備可能ですが200mmの半分程度なのでバッファとして少なすぎるように思います。
200mmより400mm、メタ品よりT2が強力ですが、プレートには質量を増大させてしまうペナルティがあり、増えた分だけ最大速度と旋回速度が減少します。つまり大きいものほど遅く、小回りがきかなくなります。
機動力はPVPにおいて非常に重要な要素であるため、ペナルティがどれくらい影響するか意識しておきましょう。
200mmでもバッファが十分な場合もあるし、アーマーリペアラーを併用することもあります。
これに加えてレジストを強化します。小型艦では全属性タイプのパッシブモジュール(Multispectrum Enegized MembraneとMultispectrum Coating)が良く使われます。
また、リグでレジやバッファを強化できますがこれも機動力にペナルティがあり、硬くはなるが詰め込み過ぎると相手の動きについて行けない「ちょっと頑丈な鉄の棺桶」になってしまうので注意しましょう。

ハルタンク
ハルタンクはバッファの最終層であるハル(船体構造)を強化するタンク方式です。
ダメージコントロール(ダメコン)はハルのレジを強化する唯一のモジュールであり、PVPにおいてこれ無しでハルタンクが成立することはありません。
ダメージコントロールは全ての層の全属性耐性を強化するモジュールです。
ハル40% → アーマー15% → シールド12.5%(T2ダメコン)と外に行くほどレジの増加が少なくなっていますが、全てのタンク方式に有効に使える唯一のモジュールです。
ハルのバッファを増やす方法は、ロースロット用のReinforced Bulkheads(追加隔壁)とリグのTransverse Bulkhead。インプラントを除くとこの2つだけです。
いずれもカーゴホールドを縮小させるペナルティがありますが、キャップブースター(電池)を大量に必要とするFitや戦い方以外では影響はありません。
追加隔壁ですが小型艦に使うことはないように思います。CPU負荷が高めなのと、他のモジュールにした方が強いFitになることが多いからです。
また、ハルタンクのみで十分なバッファを確保できる船は限られているので、他のタンク方式との併用も考えてみましょう。


【アクティブタンク】

アクティブタンクとはモジュールを起動してダメージを回復させるタンク方式です。
キャパシタを消費したりしなかったりですが、おおよそ30秒以内、長くても1分程度で勝負がつく小型艦同士のPVPにおいては起動可能な回数に上限があると考えてください。

アクティブシールドタンク
使用されるのは中型補助シールドブースター(Meidum Ancillary Shield Booster:MASB)です。
小型シールドブースターでは相手のDPSが低かったとしても十分な回復量を確保するのが難しく、MASBではない通常の中型シールドブースターはキャパシタの消費が激しすぎ、キャパシタを確保するためにキャパシタブースターをFitすると必要なモジュールが積めなくなりがちです。
MASBは装填された電池の数だけキャパシタ消費無しで起動できるのが最大の強みですが、電池がなくなると通常のシールドブースターの3倍程度キャパシタを消費するため+1回余分に回すのが限界であり、実質バッファタンクと考えた方が良いでしょう。
一度の戦いで回せる回数は海軍電池50(Navy Cap Booster 50)を9個装填した時で9回(∔1)が妥当なところです。電池をリロードすれば再使用できますが、リロードに60秒かかるためほとんどの勝負で間に合うことはありません。
MASBを使用する際は前もってオートリロードをオフにしておく場合が多いです。電池切れになってモジュールを停止すると自動でリロードされてしまうからです。60秒使えなくなるよりも、1サイクル回すキャパシタが確保できる僅かな望みにかけた方が良いという考え方です。
装備できる数に制限がなく複数装備可能で、その場合はオートリロードさせることがあります。
何かと気を遣うモジュールですが、T2よりはるかに高い回復量を誇るMASBはPVPで好んで使われるモジュールの1つです。
後はシールドバッファタンクと同様にレジを強化してダメージを軽減させます。

アクティブアーマータンク
使用されるのは小型補助アーマーリペアラー(Small Ancillary Armor Repairer:SAAR)です。これもMASBと似たようなモジュールで、ナノマシンリペアペースト(Nanite Repair Paste、以下ペースト)を装填して使用しますが、使用感は異なります。
SAARはペーストを8個装填でき、1サイクルでキャパシタとペースト1つを消費しながらメタ品の約2倍でアーマーを修復します。ペーストが切れても消費するキャパシタは同じですが、回復量が三分の1に低下します。
独特の癖があるSAARですが、短時間の戦闘における総回復量がT2リペアラーと比べて大きいので、積むならまずSAARになります。
これもリロードに60秒かかるので通常はオートリロードをオフにしておきます。
SAARは1つしか装備できないため、アーマーリペアラーを2つ積む場合は通常のリペアラーと併用するか、通常のリペアラーを2つ積みます。
後はアーマーバッファタンクと同様に必要な分だけレジを強化しましょう。
また、アーマーリペアラーを強化するリグ、回復量を増幅させるAuxiliary Nano Pump(補助ナノポンプ)とサイクル時間を短縮させるNanobot Accelerator(ナノボットアクセラレーター)の効果は強力なので、それぞれの性質を理解してFitしてみるのも良いと思います。


【バッファタンクと補助系回復モジュールの比較】

補助系回復モジュールを実質バッファタンクとみなした場合に、どちらを選択するべきか考える時の目安として比較してみます。

まず回復モジュールは共通で、オーバーロード時に回復量+10%、サイクル時間短縮-15%のボーナスが適用されます。このバフは非常に大きいためPVPではオーバーロード状態で使用するのが基本になります。
MASB:161hp/2.6s (146hp/3s)
SAAR:195hp/3.8s (179hp/4.5s)
()内はオーバーロード無しの状態。
これがフルスキル時における各モジュール1サイクルあたりの回復量と時間です。
対してT2バッファモジュールによる追加のHPは
1100hp:中型シールドエクステンダー(T2)
1200hp:400mmプレート(T2)
このHPをアクティブタンクが超えるまでの時間は

MASB:161(0), 322(2.6),483(5.2), 644(7.8), 805(10.4), 966(13), 1127(15.6)
SAAR:195(3.8) ,390 (7.6), 585(11.4), 780(15.2), 975(19), 1170(22.8), 1365(22.6)

()内は経過時間。MASBはサイクル開始時に回復されるため1サイクル目を0秒とする。

結果、MASBは7サイクル目開始直後の15.6秒で、SAARは7サイクル目終了時の22.6秒で各T2バッファモジュールのHPを超えました。
これはOver Rep(回復量の一部を無駄にしてしまうこと)なしで、かつハルのHPが0になっていない事が前提ですが、いずれも7サイクル目が適用されるまでタンクできればバッファモジュールより高タンクになります。
注意:シールドは自然回復する性質があり、バッファが増えるほど回復力が高まるためバッファタンクの方が+αのHPが多く発生しやすくなります。
モジュール単体の比較において、MASBは2サイクル分のチャージ322hp相当を残して、SAARは1サイクル分のチャージ195hpとその後1サイクル毎の65hpをキャパシタの続く限りプラスできます。落とされるまでは。


【アーマータンクのカルダリ艦(ワロタ】

現環境で通用するPVPFitを調べていくと、どの船にどのタンク方式を採用するべきか分からず混乱するかもしれません。
いにしえのFittingセオリーではアマーとガレンテはアーマータンク、カルダリはシールドタンク、ミンマターは船によりまちまち、とタンク方式が先天的に決定されていることになっていましたが、高度な知能を持つ先人カプセラ達が数々の糞アップデートを革新的な発想で乗り越え続けた結果、製作者の船体設計思想を無視した多数のメタFitが生み出されました。
古代の定説は無意味となり、禁忌とされていた混成タンクはとうの昔に確立され、今日に至っては悪魔の所業がごときアーマータンクのカルダリ艦で強機体になっているものすらあります。

ゲーム内のFitシミュレーターでカルダリ艦にアーマーモジュールをFitすると「そんな装備で大丈夫か?」と警告されますが無視しましょう。
見るべきは全てのモジュールとリグが完全に噛み合っているか否かであり、たとえ船名を「!!  BAD FIT  !!」にされようとも、己の知識とFitting思想を高めつつ邁進してください。



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【ノータンク】
世の中には一切の防御を捨てて火力に極振りしたノータンクというものが存在します。
やられる前にやってしまえる程に火力を高めたFitは、先手を取られると即死してしまうため扱いが非常に難しいわけですが、上手くいった時のカタルシスを求めて宇宙(そら)飛ぶ一発屋的な船を繰り出してくるカブキモノが稀に出没します。
好んで用いられるのがPolarized(偏光)を冠した短射程兵器で、全レジストが0になるペナルティと引き換えに恐ろしい火力が手に入ります。
ノータンクは悪魔と取引をするくらいの覚悟が必要なので欄外としました。
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どのタンク方式が最善か。
それは自身のFitと技量、相手の火力にも大きく左右されます。
私が言えることがあるとすれば、
「カッコイイ方で!」

タンク方式についてより理解を深めるために
も読んでおくことをお勧めします。