2022年7月2日土曜日

ソロPVP講座(タンク方式

四代目ベースウルフはたずねました。
「こっちのコードとこっちのコード、どっちが良いですか?」
ギターウルフは言いました。
「カッコイイ方で!」


今回はPVPでよく用いられるタンク方式であるバッファタンクとアクティブタンクについて、その性質と効果を比較してみようと思います。
※ソロPVP講座はT1の小型艦(フリゲートと駆逐艦)についての内容になっています。
他の船には当てはまらない内容が含まれていることに注意してください。

【バッファタンク】

バッファタンクとはHPの上限を上げておく防御方式です。
キャパシタの消費なしにタンクを強化できるので、キャパシタの管理がシビアになるPVPにおいて大きな長所を持っていると言えます。
レジストを上げるアクティブモジュールを使用する場合はその分キャパシタを必要としますが、回復モジュールを起動させるのに比べると消費量はわずかです。
また、強烈なアルファショット(一撃)や高DPSにさらされた場合でも、大きなバッファを確保しておくことで一撃死や秒殺を回避できます。

シールドバッファタンク
小型艦のシールドバッファを確保するのに一番良いモジュールは中型シールドエクステンダーです。小型では十分なバッファを確保するのが難しいため採用されることはあまりありません。
中型エクステンダーのFitに必要なリソース(CPUとPG)は小型艦にとって負荷が大きく、ワープ妨害、ウェビファイア、アフターバーナーやマイクロワープドライブ等のPVPで重要なモジュールをセットするミドルスロットに装備するため、Fitするのは1枚が限界になることが多いです。
可能な限りT2を使いたいところですが、Fit全体のバランスを見てメタ品の使用も検討しましょう。海軍系は強力ですがそれ以上に高額になります。
これに加えてリグでバッファを強化したりレジを高めます。
シールドのレジ強化モジュール類はミドルスロットを消費してしまうため、ミドルスロット数が多い船でない限りソロPVP用の小型艦に使われることは少ないと思います。
注意点として、エクステンダーとシールド用のリグ(一部を除く)には船の当たり判定範囲を大きくしてしまうペナルティがあるので、それがどれくらい相手の与ダメージに貢献してしてしまうかを確認しておきましょう。

アーマーバッファタンク
アーマーバッファを増やすモジュールはプレートです。
小型艦では200mmと400mmが装備可能です。100mmも当然装備可能ですが200mmの半分程度なのでバッファとして少なすぎるように思います。
200mmより400mm、メタ品よりT2が強力ですが、プレートには質量を増大させてしまうペナルティがあり、増えた分だけ最大速度と旋回速度が減少します。つまり大きいものほど遅く、小回りがきかなくなります。
機動力はPVPにおいて非常に重要な要素であるため、ペナルティがどれくらい影響するか意識しておきましょう。
200mmでもバッファが十分な場合もあるし、アーマーリペアラーを併用することもあります。
これに加えてレジストを強化します。小型艦では全属性タイプのパッシブモジュール(Multispectrum Enegized MembraneとMultispectrum Coating)が良く使われます。
また、リグでレジやバッファを強化できますがこれも機動力にペナルティがあり、硬くはなるが詰め込み過ぎると相手の動きについて行けない「ちょっと頑丈な鉄の棺桶」になってしまうので注意しましょう。

ハルタンク
ハルタンクはバッファの最終層であるハル(船体構造)を強化するタンク方式です。
ダメージコントロール(ダメコン)はハルのレジを強化する唯一のモジュールであり、PVPにおいてこれ無しでハルタンクが成立することはありません。
ダメージコントロールは全ての層の全属性耐性を強化するモジュールです。
ハル40% → アーマー15% → シールド12.5%(T2ダメコン)と外に行くほどレジの増加が少なくなっていますが、全てのタンク方式に有効に使える唯一のモジュールです。
ハルのバッファを増やす方法は、ロースロット用のReinforced Bulkheads(追加隔壁)とリグのTransverse Bulkhead。インプラントを除くとこの2つだけです。
いずれもカーゴホールドを縮小させるペナルティがありますが、キャップブースター(電池)を大量に必要とするFitや戦い方以外では影響はありません。
追加隔壁ですが小型艦に使うことはないように思います。CPU負荷が高めなのと、他のモジュールにした方が強いFitになることが多いからです。
また、ハルタンクのみで十分なバッファを確保できる船は限られているので、他のタンク方式との併用も考えてみましょう。


【アクティブタンク】

アクティブタンクとはモジュールを起動してダメージを回復させるタンク方式です。
キャパシタを消費したりしなかったりですが、おおよそ30秒以内、長くても1分程度で勝負がつく小型艦同士のPVPにおいては起動可能な回数に上限があると考えてください。

アクティブシールドタンク
使用されるのは中型補助シールドブースター(Meidum Ancillary Shield Booster:MASB)です。
小型シールドブースターでは相手のDPSが低かったとしても十分な回復量を確保するのが難しく、MASBではない通常の中型シールドブースターはキャパシタの消費が激しすぎ、キャパシタを確保するためにキャパシタブースターをFitすると必要なモジュールが積めなくなりがちです。
MASBは装填された電池の数だけキャパシタ消費無しで起動できるのが最大の強みですが、電池がなくなると通常のシールドブースターの3倍程度キャパシタを消費するため+1回余分に回すのが限界であり、実質バッファタンクと考えた方が良いでしょう。
一度の戦いで回せる回数は海軍電池50(Navy Cap Booster 50)を9個装填した時で9回(∔1)が妥当なところです。電池をリロードすれば再使用できますが、リロードに60秒かかるためほとんどの勝負で間に合うことはありません。
MASBを使用する際は前もってオートリロードをオフにしておく場合が多いです。電池切れになってモジュールを停止すると自動でリロードされてしまうからです。60秒使えなくなるよりも、1サイクル回すキャパシタが確保できる僅かな望みにかけた方が良いという考え方です。
装備できる数に制限がなく複数装備可能で、その場合はオートリロードさせることがあります。
何かと気を遣うモジュールですが、T2よりはるかに高い回復量を誇るMASBはPVPで好んで使われるモジュールの1つです。
後はシールドバッファタンクと同様にレジを強化してダメージを軽減させます。

アクティブアーマータンク
使用されるのは小型補助アーマーリペアラー(Small Ancillary Armor Repairer:SAAR)です。これもMASBと似たようなモジュールで、ナノマシンリペアペースト(Nanite Repair Paste、以下ペースト)を装填して使用しますが、使用感は異なります。
SAARはペーストを8個装填でき、1サイクルでキャパシタとペースト1つを消費しながらメタ品の約2倍でアーマーを修復します。ペーストが切れても消費するキャパシタは同じですが、回復量が三分の1に低下します。
独特の癖があるSAARですが、短時間の戦闘における総回復量がT2リペアラーと比べて大きいので、積むならまずSAARになります。
これもリロードに60秒かかるので通常はオートリロードをオフにしておきます。
SAARは1つしか装備できないため、アーマーリペアラーを2つ積む場合は通常のリペアラーと併用するか、通常のリペアラーを2つ積みます。
後はアーマーバッファタンクと同様に必要な分だけレジを強化しましょう。
また、アーマーリペアラーを強化するリグ、回復量を増幅させるAuxiliary Nano Pump(補助ナノポンプ)とサイクル時間を短縮させるNanobot Accelerator(ナノボットアクセラレーター)の効果は強力なので、それぞれの性質を理解してFitしてみるのも良いと思います。


【バッファタンクと補助系回復モジュールの比較】

補助系回復モジュールを実質バッファタンクとみなした場合に、どちらを選択するべきか考える時の目安として比較してみます。

まず回復モジュールは共通で、オーバーロード時に回復量+10%、サイクル時間短縮-15%のボーナスが適用されます。このバフは非常に大きいためPVPではオーバーロード状態で使用するのが基本になります。
MASB:161hp/2.6s (146hp/3s)
SAAR:195hp/3.8s (179hp/4.5s)
()内はオーバーロード無しの状態。
これがフルスキル時における各モジュール1サイクルあたりの回復量と時間です。
対してT2バッファモジュールによる追加のHPは
1100hp:中型シールドエクステンダー(T2)
1200hp:400mmプレート(T2)
このHPをアクティブタンクが超えるまでの時間は

MASB:161(0), 322(2.6),483(5.2), 644(7.8), 805(10.4), 966(13), 1127(15.6)
SAAR:195(3.8) ,390 (7.6), 585(11.4), 780(15.2), 975(19), 1170(22.8), 1365(22.6)

()内は経過時間。MASBはサイクル開始時に回復されるため1サイクル目を0秒とする。

結果、MASBは7サイクル目開始直後の15.6秒で、SAARは7サイクル目終了時の22.6秒で各T2バッファモジュールのHPを超えました。
これはOver Rep(回復量の一部を無駄にしてしまうこと)なしで、かつハルのHPが0になっていない事が前提ですが、いずれも7サイクル目が適用されるまでタンクできればバッファモジュールより高タンクになります。
注意:シールドは自然回復する性質があり、バッファが増えるほど回復力が高まるためバッファタンクの方が+αのHPが多く発生しやすくなります。
モジュール単体の比較において、MASBは2サイクル分のチャージ322hp相当を残して、SAARは1サイクル分のチャージ195hpとその後1サイクル毎の65hpをキャパシタの続く限りプラスできます。落とされるまでは。


【アーマータンクのカルダリ艦(ワロタ】

現環境で通用するPVPFitを調べていくと、どの船にどのタンク方式を採用するべきか分からず混乱するかもしれません。
いにしえのFittingセオリーではアマーとガレンテはアーマータンク、カルダリはシールドタンク、ミンマターは船によりまちまち、とタンク方式が先天的に決定されていることになっていましたが、高度な知能を持つ先人カプセラ達が数々の糞アップデートを革新的な発想で乗り越え続けた結果、製作者の船体設計思想を無視した多数のメタFitが生み出されました。
古代の定説は無意味となり、禁忌とされていた混成タンクはとうの昔に確立され、今日に至っては悪魔の所業がごときアーマータンクのカルダリ艦で強機体になっているものすらあります。

ゲーム内のFitシミュレーターでカルダリ艦にアーマーモジュールをFitすると「そんな装備で大丈夫か?」と警告されますが無視しましょう。
見るべきは全てのモジュールとリグが完全に噛み合っているか否かであり、たとえ船名を「!!  BAD FIT  !!」にされようとも、己の知識とFitting思想を高めつつ邁進してください。



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【ノータンク】
世の中には一切の防御を捨てて火力に極振りしたノータンクというものが存在します。
やられる前にやってしまえる程に火力を高めたFitは、先手を取られると即死してしまうため扱いが非常に難しいわけですが、上手くいった時のカタルシスを求めて宇宙(そら)飛ぶ一発屋的な船を繰り出してくるカブキモノが稀に出没します。
好んで用いられるのがPolarized(偏光)を冠した短射程兵器で、全レジストが0になるペナルティと引き換えに恐ろしい火力が手に入ります。
ノータンクは悪魔と取引をするくらいの覚悟が必要なので欄外としました。
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どのタンク方式が最善か。
それは自身のFitと技量、相手の火力にも大きく左右されます。
私が言えることがあるとすれば、
「カッコイイ方で!」

タンク方式についてより理解を深めるために
も読んでおくことをお勧めします。

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