2021年4月19日月曜日

ウルトラロックのメカニズムについての情報更新

以前にウルトラロックについて書きましたが、一番重要なポイントが抜けていたので捕捉します。
書き忘れたのではなく、知りませんでした。

前の記事を要約すると、
静止状態から2秒未満でワープに入れるようにFitした通称タクシー。これを捕まえられる超高速ロックオンをウルトラロックと言い、強化した船のセンサー解像度と極めて短いインターネット通信遅延によって実現できる。
といった内容でした。

記事を書いた後、ウルトラロックによるゲートキャンプ動画を見ているうちに、Pingやセンサー解像度だけで可能になっているとは思えないくらい簡単に捕まりすぎているように感じてきました。
それ以来、たまにネットでウルトラロックについて検索していたのですが、最近redditにウルトラロックについての詳細な投稿記事がありました。
今回はその記事の内容をより分かり易く書いてみようと思います。



【ウルトラロックを容易にするクライアントの更新タイミング】

用語の説明やインスタロック(高速ロックオン)の仕組みについては、以前の記事「Jita新調記念:インスタドック関係とウルトラロックのメカニズム」で確認しておいてください。

以前の記事に書いていない一番重要なポイントは、サーバーから届いた信号を、ゲームクライアントが受け取ってゲーム画面に反映されるまでの遅延です。
この場合の遅延はPingとは関係ありません。
Ping:レイテンシ、通信にかかる遅延時間。PCからサーバーに信号を送り、それに対する結果がサーバーからPCに届くまでの時間。単位は1000分の1秒(ms)
Pingとは関係ないとする根拠は、1台のPCで2つ以上のアカウントを同時起動させた状態でサーバーからの信号が画面に表示されるタイミングにずれがあること、だそうです。

よく複数のキャラクターを同時起動させる人は覚えがあると思います。
同じシステムの同一グリッドで複数のキャラクターを操作している時に、オーバービューの表示がそれぞれ早かったり遅かったりしますね。
この反映のずれは、理論値で0.005~1秒と振れ幅が非常に大きく、実際に計測したずれの最大値は0.9秒だったそうです。
これは、1台のPCで起動しているクライアント間の遅延なので、Pingに関係なく発生する遅延が別にあることを意味しています。

モジュールの起動やワープ等の操作の信号をクライアントから発信し、サーバーが受信すると同一グリッド内のその他全てのキャラクターのクライアントからの信号と合わせて計算して、各ティックごとにそれまでに完了したキューの結果のみ全クライアントに送信します。
EVE Onlineのサーバーティックは正確に1秒おきで、サーバーからの送信のタイミングは同一グリッド内にいる全キャラクターのクライアントに対して同時です。

ならばなぜPingが同じ状態でクライアント間でずれが発生するのか?


前提として理解しておく事柄

その1、クライアントでは受信したサーバーからの信号を元に1秒ごとにゲームを更新させます。
サーバーから信号が来なければ、過去の信号の結果を描画し続けます。
クライアント側で更新するタイミングはサーバーティックと大きくずれることがあります。

その2、更新のタイミングがサーバーティックと大きくずれるとラバーバンディングが発生します。
ラバーバンディング(ラバーバンド現象):サーバーからの信号がクライアント内でゲームを更新するタイミングに間に合っていないと発生する現象。移動していた船が瞬間移動して元の位置に戻されるような現象。短時間で発生するデジャブみたいなやつ。

その3、クライアントの更新タイミングは以下の条件でランダムにずれます。
ステーション等に入港または出航した時。
スターゲートをジャンプした時。
グリッド内で多数のキャラクターの出入りがある時。
理由不明で時々。

これらが原因で、あるクライアントではサーバーからの最新情報がゲーム画面にほぼ遅延無しに描画され、別のクライアントでは古い情報を元にゲーム画面が描画され続ける、という状態になることがあります。


【ウルトラロックを容易にするクライアントの更新タイミングの調整】

クライアントがサーバーからの情報をゲーム内に反映させるまでの遅延は、ゲートキャンプでインスタロックをする時に大きく影響します。
タックラー側の遅延が最小でターゲット側が大きく遅延した状態だと、タックラーは1ティック早くロックオンの信号をサーバーに投げることができます。

クライアントの更新タイミングに十分な差があり、センサー解像度を強化してPingがそこそこ良いウルトラロック状態であれば、タクシーどころかコバートクローク船ですら捕まえられることが、多くのウルトラロック愛好家によって実証されているようです。

ゲームクライアントの更新が早いと、ターゲットがゲートジャンプ後のクローク状態からワープに入るためにデクロークして見えるようになるのも早くなります。
クローキングデバイスを起動できるのはジャンプ後のクローク状態を解除した後です。
タックラー側のゲーム画面では先にターゲットのクロークがはがれるので、早いタイミングでロックオンの信号がサーバーに届きます。
つまり、タックラーがロックオンを開始した時にターゲット側ではまだクロークを維持している状況が発生し、クローキングデバイス起動の信号がサーバーに届くまでにロック完了になっているので、クローキングデバイスを起動できずにタックル成功になります。

タックラーがクライアントの更新を低遅延にすることは簡単で、ウルトラロックができるまでゲートをジャンプして更新のタイミングを変更させるだけで良いらしいです。
タクシーやコバートオプスをロックしてみて、できなければゲートをジャンプ、またできなければジャンプを繰り返し、ロックしてタックルが成功すればクライアントの更新タイミングの調整完了となります。
後は更新のタイミングが書き換えられるまで、その場で次々にやって来る獲物を捕まえて落としていくだけです。

STARKEY 07さん(キャラ名)
ゲーム内でたまに見かけているプレイヤーです。
動きに隙が無いので要注意プレイヤーだと思って交戦を避けていましたが、実際にかなりの腕前のプレイヤーのようです。
トラベルセプターを淡々とウルトラロックで撃墜していく様は脅威なので、これからも避けていこうと思います。
動画内のコメントで10ms以内の低遅延Pingでやったとあるだけで、今回の内容に関係があることは言及されていません。
このPingだとロンドン在住なんでしょうか?
ポッドkillでインプラントをドロップしているのは、当時開催していたイベントの仕様です。

その他、ウルトラロックの脅威が分かるものとして、redditに投稿された動画へのリンク。
こちらはDaBigRedBoatさん、でいいんでしょうか?
EVEストリーマーなんですかね?
狩られる側視点の動画です。
操作が下手なので相手が完璧なウルトラロックなのか判断が難しいところですが、高水準のウルトラロックに仕上げた腕の良いタックラーによるゲートキャンプだと思います。
馬鹿みたいに絶叫してうるさいので再生する前に音量を下げておくのをオススメします。


【ウルトラロック可能なPingとセンサー解像度】

今回redditに投稿された記事によると、ウルトラロックには低遅延Pingであることが重要ではあるけれど、一般的に理解されている「ウルトラロックをするならロンドンに住め」は誇張された情報のようです。※EVEサーバーはロンドンにある。
少なくともヨーロッパ圏からの接続であれば十分なPingが得られるとのこと。
とはいえ、常時大きな遅延になるオーストラリア、ニュージーランド、アジアの東側、つまり日本のプレイヤーはウルトラロック不可で、かつウルトラロックに確実に捕まるっぽいです。
今回投稿された記事によってウルトラロックが流行ると、ローやヌルの交通事情が一気に悪化しそうで怖いです。
絶対捕まるゲートキャンプはヤバすぎるので、何らかの回避策というか、仕様の変更が欲しいですね。
過去に一度ウルトラロックのゲートキャンプに殺されたことがあるんですが、あれはコネクションロストでアビサル中のギラとインプラントを失った時くらいやりきれない気持ちになります。

センサー解像度は3500mmあれば十分の様です。
これはタックラー本体のセンサー強化を他キャラからのリモートセンサーブースターで支援できるので、要件を満たす船とFitの選択肢は多いです。

3500mmでターゲットが素のsig(シールドエクステンダー等で大きくなっていない)でも
インターセプター相手なら0.6秒、駆逐艦なら0.4秒でロックできるようです。

インプラント込みの最高水準で組んだインスタワープFitのAresでも静止状態からワープに入るまでに1.09秒かかるので、以前の記事に書いたインスタロックのメカニズムと今回のクライアントの遅延を込みにすると、ウルトラロックを100%回避するのは無理みたいです。
ヘカテの高機動モードで最高のインスタワープFitなら0.696秒でワープに入れますがSigが大きすぎます。
シャトルやポッドでもアウトです。

ポッドについて、shipkillされてポッドでスポーンした場合はさらに分が悪くなるようです。
ポッドのスポーンから行動開始までに1秒間の遅延があるので、その分余計にロックされやすくなるらしいです。


【クロークワープとMWDクロークトリック】

ウルトラロックは滞在者の多い出入りが激しい星系では難しいらしいので、ハイセクでは十分安全にゲートキャンプを回避することができる?みたいです。

クロークワープは、コバートオプスクローキングデバイス(日本語表記で隠密遮蔽装置?)を装備してワープ操作した直後に起動させるだけなので簡単ですが、MWD+クロークトリック(疑似クロークワープ)はある程度慣れないと手順を間違えて失敗することがあるくらいには難しいです。

疑似クロークワープはアラインが遅い輸送艦でも安全に移動する方法で、バブルをかまされなければ、あとウルトラロッカーがいなければ(重要)、ゲートキャンプを回避できる確率が飛躍的に高まります。

理屈を簡単に説明しておきます。
ワープに入る条件は「最大速度の75%以上になっている」と「ワープする方向に誤差15度5度?以内(だったはず)に船首が向いている」と「ワープ先が現在地から150km以上離れている」です。
輸送艦のような鈍足な船は、加速や向きを変えるのに時間がかかるので、ゲートキャンパーが寝ぼけていても楽勝でタックルをキメられるくらい隙だらけです。
なので、アラインして十分加速できるまでの時間をクロークしてロック不可にします。
ただし、コバートクローク以外のクローキングデバイスは起動時に最大速度低下のペナルティがあるので、クローク解除した時に最大速度の75%以上をキープするためにMWD(マイクロワープドライブ)をクローク中に使用して十分に加速させておきます。


操作の手順は、
1、ワープ先に向かってアライン(軸合わせ)を指示し、直後にクローキングデバイスを起動させます。
この操作が速いほどロックオンされにくくなり、ウルトラロックでなければ100%回避できます。
注意点としては、クローキングデバイスはデクロークした状態でないと起動できないため、操作が速すぎると「クローク中だから起動できなかったよ」的なメッセージが表示され、デバイスの起動がキャンセルされます。
その時は素早くもう一度デバイスを起動させましょう。
連打すると「デバイス起動→オフ」になるので1クリックで。
スピードと正確さが重要なので、クローキングデバイスをショートカットで操作するのをお勧めします。

ターゲットにされている場合は、クロークした位置を基準にクロークをはがすためにタックラーが突っ込んできます。腕の良いハンターほど正確な位置を予測できるので、接近されてクローク解除されることがあります。
これは絶体絶命なので、念仏を唱えながらチャットに「good move o7」とでも書き込みつつワープボタンを連打しましょう。
その他、気の利いた捨て台詞を用意しておくと良いと思います。

2、クローキングデバイスが起動したのを確認したらMWDを起動させます。
この操作は急がなくても良いです。
クローキングデバイスが起動して2、3秒は他のモジュールを起動できるので、ちゃんとクロークできたか確認してからMWDをオンにするのがベターです。
クロークする前にMWDが回り始めると、Sigが大きくなって余計にロックされやすくなるかもしれません。



3、MWDのサイクルが終了する手前でデクローク、からのワープ連打。
デクロークが早すぎるとSigが大きな状態で相手から見えるようになり、ロックが容易になってしまいます。
遅いとワープに必要な速度を下回ってしまい即ワープできません。
ベストのタイミングはMWDのサイクルが90~95%あたりだとされています。
クローキングデバイスが起動しているとモジュールは1サイクルで自動停止するので、MWDをオフにする必要はありません。
クローキングデバイスを切ったらすぐにワープボタンを連打することで、デクローク直後に即ワープに入れます。


撮影で使用したFit
撮影用になるべく安く組んだ物なのでFit例としての完成度は非常に低いです。
リグは「Medium Low Friction Nozzle Joints I」の方が疑似クロークワープ向きですが、高かったのでこちらを選択しました。
乗ってみた感じだと加速とアライン性能を落としても問題なさそうでした。
スタビライザーやリグをカーゴ拡張にいくつか変更できそうです。
クローキングデバイスをT1にすることもできますが、操作がよりシビアになるのでお勧めはしません。
カーゴが狭いタイプの輸送艦なら敏捷性が高いのでT1クロークでも少し操作が楽になりますが、Fit次第でMWDのオーバーロードが必須になるかもしれません。

バッジャー・シールドバッファタンク
ついでに許容範囲の金額に納まるシールドバッファタンクのFit例です。
ハイセクでこれくらいのシールドバッファを一瞬で吹き飛ばすには結構な火力が必要になります。
トルネードを使うのは割に合わないので、安いFitのカタリスト等の集団で襲うのがありそうなパターンです。
確実に落とすためには人数を集める必要があるので、積み荷が高くなければ狙われる確率がかなり低くなると思います。

サイジル・シールドリチャージ
バッファが少ないので瞬間火力で一気に落としに来るカミカゼアタッカー耐性は低いですが、ボレーダメージとDPSが低い相手なら長時間タンクできるリチャージ量です。
どちらかというとベイト役としての需要が高い感じでしょうか?

高額品を積んだ輸送艦でカミカゼアタッカーを釣ってkillライトで稼ぐ動画。


「良い感じで安めのT1輸送艦Fit」がありましたらコメントください。
「こういう用途で使っている」「長所と短所」等実際の使用感なども書いていただけると参考になります。
よろしくお願いします o7

2 件のコメント:

  1. こんにちは~

    JITA往復用のバッジャーです。

    積み荷を10,000㎥確保したかった(10,293㎥)のと、軸合わせを出来るだけ短くしたかった(4.39秒)ので、今のところの足です。

    ワープ移動も気にならないくらい快適ですが、ターゲットはされたことはあるけど、襲われたことはないので、今後も生き残れるかは不明です(^^;

    お値段は38Mくらいです。


    [Badger, Badger]
    Expanded Cargohold II
    Inertial Stabilizers II
    Inertial Stabilizers II
    Inertial Stabilizers II

    Multispectrum Shield Hardener II
    Multispectrum Shield Hardener II
    Large Shield Extender II
    Medium Shield Extender II
    Medium Shield Extender II
    Medium Shield Extender II

    Medium Cargohold Optimization II
    Medium Cargohold Optimization II
    Medium Cargohold Optimization I

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    1. Fitのご提供ありがとうございます!

      輸送艦のFitはカーゴスペースの確保と安全運航のバランスを取るのが難しいですね。
      私は滅多に輸送艦に乗らないので、そのバランスがどの辺りが最適なのか未だはっきり理解できていません。

      以下は個人的な好みです。
      偉そうに上から物を言っているように受け取られるかもしれませんが、そのような意図は無いのでご了承ください。

      頂いたFitで不安なところは耐久値の低さです。
      ジタのような危険地帯を出入する輸送艦としては脆い方になるんじゃないかと思います。
      ※ジタ⇔ペリメターゲートを迂回すれば問題無いかも?

      シールドエクステンダーとスタビライザーでインスタロックでなくても即ロックできるSigになっているので、敏捷性を強化しても捕まえるのは非常に簡単です。
      襲うかどうかの判断は積み荷とFitの総額によると思いますが、これは襲う側の気分次第で「暇だからコイツでも撃っとくか」となることもあります。
      私が乗るとしたら怖いです。

      ざっと計算してみた感じでは、SS1.0のシステムでも4MくらいのFitのカタリスト6機、15Mくらいのカタリストなら3、4機いれば、コンコードに始末される前に落とせるようです。

      「ターゲットされたことはある」とのことですが、たぶんカーゴスキャンとシップスキャンで積み荷とFitを覗かれたのだと思います。

      このFitで私が乗るならT2カーゴリグを全てT1にします。
      カーゴが10,000㎥を切ってしまいますが、T2リグを使うとタンクに対してFit総額が高い気がします。

      T1輸送艦のFitは「ガチガチにタンクを固める」か「捕まえられないようにする」のどちらかを選択するのが最善で、「カーゴを無視してタンクに極振り」「疑似クロークワープ」「ワープコアスタビライザー」の3択になると思います。(積み荷が少額の場合を除く)

      機動力を高めて移動のストレスを抑えたいところですが、それはある程度安全な場所での使用が前提になると思います。
      ハイセクの危険地帯を快適に通行するなら、かなり高額になりますがBlockade Runner(通称:軽トラ)一択になりそうです。

      私が積載量重視でハイセクの危険地帯を通るためのT1輸送艦Fitを組むとしたらこんな感じです。


      [Sigil疑似クロークワープ]

      Improved Cloaking Device II

      Medium Compact Pb-Acid Cap Battery
      Eutectic Compact Cap Recharger (2)
      50MN Quad Lif Restrained Microwarpdrive

      Expanded Cargohold II (6)

      Medium Cargohold Optimization I (3)

      ※ISK/14.4M 積載量17,150㎥


      輸送艦が撃沈されると今まで頑張ったことが、少なくとも積み荷の分失われてしまうので、私の率直な意見を書きました。
      これに対するご意見やアドバイスがあればコメントいただけると嬉しいです。

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