EVE宇宙をソロで闊歩するガイドとして企画された『バックパッカースタイルで行くEVE
Online』は私が書いた旅行記を「原文ママ」で公開するものです。
価値観や文化の違い、詐欺師や海賊プレイヤーとのやり取りなど、私の旅行記を通して自己流のやり方を掴んでいただければ幸いです。Fly
Safe o7
隔週木曜日18時更新。
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【涼しいトドラ渓谷とベルベルパーティー】
トドラ渓谷で四泊。気温は最高でも30度程度。快適である。
宿のベランダからの景色。
川の水は冷たい。
川沿いに続く畑のあぜ道を歩いているとモロッコじゃない感が。この辺りにはアーモンドの木が多いが、何となく日本の農村の雰囲気。
オシャレ道。
唯一の博物館。たぶん裏口。
こちらが博物館の表口のはず。
町(村)のメインストリート。
これは「すれ違いできないよ」の標識か。
通学用のバス?
【涼しいトドラ渓谷とベルベルパーティー2】
トドラ渓谷では主に寝て過ごした。いつも通りだ。変わったことはベルベル人の家に招かれてラマダンブレックファスト(ラマダン中の日没後に食べる最初の食事)を食べた。定番のハリラ(豆のスープ)、ナツメヤシの実を干し柿みたいに加工したもの、砂糖でベッタベタ甘々のドーナツ、ゆで卵、ベルベルウイスキー(中国茶を使ったミントティー)、その他ベルベルピザやら果物や野菜で作った自家製のジュース多種。これらを日没後のアザーン(モスクから放送される礼拝の合図)を聞いてから食べ始める。食事に招いてくれたのは絨毯屋の大将だが、セールストークが始まるわけでなく、ダラダラと腹一杯になるまで雑談しながら食べ続けた。
食事が終わると大将は満足げに仰向けに寝そべって満腹感を味わっていた。ラマダンの期間中に肥るという話は本当らしい。食料の消費量も増える。そもそも断食と言うより聖人だか何かの偉い人の苦行を追体験するとか。僕は勝手に食料不足を和らげる目的で始まったのだと推測していたが違う様だ。それにムスリムはラマダンが好きだと言う人が多い。世界中のムスリムと同じ目的を共有する一体感や、飲み食いを我慢してやって来る夜の食事と家族や友人との憩いの時間が普段より豊かで楽しいものになっている。昼間は寝て、夜は食って遊んで寝る。経済活動は確実に疎かになるが人生を楽しむには良い。贅沢な行事である。
食後は場所を近くのホテルに変えてベルベルミュージックのパーティーだ。ジャンベという小太鼓を鳴らしながら歌ったり踊ったりする。
このパーティーには二日参加した。僕はジャンベを叩いたことがなかったが、飛び入りで見よう見まねで演奏した。聴き慣れないリズムでどんどん即興で変化していくのが楽しい。叩いているうちに基本のリズムに慣れていったがかなり独特だ。ドラム奏者がアフリカンミュージックに惹かれるのも納得。
とにかく陽気で穏やかなパーティーだった。ジャンベは三つあって、熟練した奏者が演奏するとかなりの迫力だが、欲を言うとあと三つあればなお良い。一番楽しそうなのは参加者全員がジャンベ持って皆でドコドコやるの。
ベルベル人が「サンキューベリーマラケシュ!」と言っていた。言葉の意味はよく分からんが、とにかく楽しかったのは間違いない。
滞在四日目にして始めて遠出した。
川を遡って行くと途中で地中に隠れ、涸れ川になる。
ここから一時間ほど歩いたが、行けども行けども同じ景色。暑くはないが空気が乾燥していて水が足りなくなったので引き返した。
道路脇で昼寝中のベルベル兄弟。ラマダン中は水も飲めないので日没までみんな寝てる。店もほぼ閉まってる。困る。
川でも寝てる。
モロッコ国旗掲揚。
今日も畑は清々しい。
もらったチーズの牛がええ顔。
トドラ渓谷では四泊。明日はメルズーガへ向かう。モロッコ観光のハイライト、サハラをラクダで散歩する。
【メルズーガからサハラへ】
トドラ渓谷から下って長距離バスターミナルのあるティネリールへ。この界隈では大きな町だが規模は小さい。ラマダン中なので店はほぼ閉まっており、開いていても開店休業状態である。
歯科医院の看板は「いぃぃ」が多い。閉まってる。例え開いていてもラマダン中の空腹でイライラしている歯科医に大切な歯の治療をお願いする気にはなれない。
ベルベル人のコンピュータお兄さんが経営するパソコン屋は営業中。
ティネリールからメルズーガまでは初のスープラトゥールを利用する。モロッコで最高水準のバスだ。
ここの事務所は小さくて4畳ぐらいしかなく、チケットを買いに入ったら誰もいない。よく見ると机と机の隙間から足が見えたので覗き込んだらおっさんが机の下で赤ちゃんと昼寝をしていた。良い感じだ。すぐに奥さんらしき可愛らしい女性が戻って来て「旦那はラマダン中なのよ。うふふ」と言う。ラマダンは妊婦や子供、病人など体に悪影響があると困る人は免除される。乳飲み子を抱えた母親も免除されるらしく奥さんは元気だ。旦那は力無くむくりと起き上がり「うぃぃ、いらっしゃ~い。どこまで行くの?発券は妻がするからちょっと待ってね~」と言って再び机の下へ潜って行った。
こんな感じの道を走り続けるバスは快適。何と冷房がかかっている。座席も取り付けが緩んでぐらついたり捻じれたりしない。値段も荷物預かり料を取られない事を考慮すると民営バスとほぼ同じ。それにバス停じゃない所で手を挙げている客をいちいち止まって拾わないので移動が速い。凄い。
メルズーガは中心部から離れた所にサハラへ観光するための拠点になる村がいくつかあり、そこのオアシス(Auberge L'OASIS)という宿を予約して迎えを頼んでおいた。バスはメルズーガ中心部か手前のリサニにしか止まらず、中心部まで行くとタクシーで宿まで40Dhかかるらしかった。オアシスを予約して迎えを頼むと無料で綺麗なトヨタのハイラックストラックで拾ってくれる。僕の場合は、オアシスのある村の近くのガソリンスタンドで給油中のバスを宿のオーナーが運良く見つけてくれたので、そこで拾ってくれて移動時間が短縮できた。午後4時にティネリールを出発して宿へ到着したのが午後9時過ぎ。
翌朝、宿の屋上から眺めるとサハラが目と鼻の先だった。眠っていたヤル気が目を覚ます。
夕方出発のラクダでサハラツアーの前に小さな村を一周する。
人がおらん。稀に子供を見かけるが、ラマダン中ゆえに大人はお家でゴロゴロしているみたい。
砂漠の村にもかかわらず、波に人が飛び込んでいる様に見えるマークは何を示しているのか。まさかプールのある喫茶店か?
ええ落書き。
どこかで見た憶えのあるアヒルが気になるが、これはアラビア語の「あいうえお」か?
民家は土作りの平屋が主流。
待機中のラクダ。村にはナツメヤシの畑があるくらいで、主に観光業で存続している村のようだ。
つづく
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その他の写真
携帯電話販売店ではなく固定電話を有料で使える店。
日が当たる時間帯の川
影になる時間帯になると涼みに来る。
GPSで示された現在地(青丸)がメルズーガ。
泊まった宿の看板とロバにライドオン中の少年。
ホテルの一室で行われたベルベルミュージックパーティー。
左からモロッコで活躍中のミュージシャン、ホテルの従業員2名、絨毯屋の大将。
日本対モロッコ戦メモ
メルズーガの宿の自室でくつろいでいると外が騒がしくなり、誰かが強めに扉をノックした。
鍵を開けると立っていたのは宿の従業員だ。
「もうすぐ日本対モロッコ戦が始まるから一緒に観ようぜ!」
テレビと椅子を宿の前の道に並べ、宿の関係者や近所の人々と一緒にロンドンオリンピック・サッカー日本対モロッコ戦を観戦した。
どちらが勝ったか憶えていない。
試合終了後「アマーズィーグの国はサッカー強いね!」と言ったら「日本も強えーよ!」と相手国を讃え合うヨイショ合戦が始まった。
アマーズィーグはベルベル人のこと。
もともと「ベルベル人」は「わけのわからん言葉を話す野蛮人」という意味の蔑称。観光地では自ら「ベルベル人だ」と名乗ったりレストランのメニューに「ベルベル風○○」と書いてあったりと日常的に使われるが、その他の地域や敬意をもって接する時は「アマーズィーグ」と呼んだ方が良い。
ジダン(両親がアルジェリアのベルベル人)をはじめベルベル人にルーツを持つ名選手が少なからず存在することから、ヨーロッパでは「ベルベル人=サッカーつよつよ説」みたいなものがあるらしい?
アマーズィーグはアラビアンに比べて明るめの肌で、青い目の人が多い。
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